無名 2016-08-15 15:44:54 ID:16c2a71f2 |
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「俺に口を聞くな悪魔ッ!!貴様らは望まれない子なのだから、黙っていれば良いのだッ!!」
その迫力ある怒号に、体が動かない。あぁ、情けない。私は兄さんの側に駆け寄ることもできない。
兄さんは、口の端の血を拭いながら反抗的な瞳で男を見上げた。
「だって、この前挨拶しなかったら、挨拶もできないのか、って…。」
小さな反論は、蹴飛ばされ宙に舞った。
「口答えするのか、忌まわしき赤髪の分際でッ!生かされているだけいいと思え!」
そんな無茶苦茶な、と声を出したい。
声を出しても、無駄なのは知っているけど、相手の矛盾は私にでも分かる。
男は片手に持っていたパンを灰色コンクリートの床に直に投げた。いや、捨てたという表現が正しい。
そして、そのまま……
「あっ…!」
「……ぁ…」
パンを踏み潰した。
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