綿菓子 2016-08-14 23:57:17 |
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(悶々とした気持ちを抱えたまま平然と過ごしていられるはずも無く、何度か友人に体調を気遣う声を掛けられながら一日を終え。そんな日々が数日続いたが一ヶ月も経つ頃にはすっかり相手を思い出してしまう瞬間も減ってしまい、以前のように平凡な日常を過ごし。変わった事と言えば相手の居ない寂しさを埋めるように数人と体を重ねていたが虚しさが募るばかりで、会う度に事を終えてから一切の連絡を断つ事を続けているうち繋がりを持つ人間が居なくなった事くらいで。鞄の奥底に眠っていた鍵を見付けたのはそれからまた一ヶ月程時間が経ってからの事。大学で使うテキストが見付からずに鞄の中を漁っていた時漸く見付け、一瞬何処の鍵かと思案するも、直ぐに相手の家の物だと勘づいてしまい。何故こんなところに、と怪訝そうに眉を寄せるが、同時に胸の底から抗いようの無い強い感情が突き上げて来たのも事実であり。苛立ちや期待や後悔や怒り、様々な感情が入り交じって収拾がつかなくなると堪らず鍵を手に家を飛び出し。無我夢中で走って相手の家の前に辿り着きドアノブに手を掛けるが、そこで一気に頭が冷えていくと今更何をしに来たんだ、と自問してしまい。時間の経過はまるで相手との距離のようで、拒絶されるのではないかという恐怖心と相手の行動への怒りが先立ってその場から退くことも進むこともできず。酷い事をされたと認識はあるのにそれに対する感慨は殆ど無く、そんな自らを嘲るように歪んだ笑みを漏らすと意を決してインターホンを鳴らし。例え鍵が開いていたにしても閉まっていたにしても、手元の鍵は使わず手の中にあり。鍵を返すためだけに来たならポストにでも入れておけば良いことは十分理解している上で、もし相手と顔を合わせたとしても何をしたいかなんて考えられないまま応答を待ち)
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