松野一松 2016-07-17 16:38:39 |
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▼プロローグ
――――――――――
(以下、チョロ松の日記)
大変なことになった。
以前僕たちが呼び出してしまった悪松と神松の影響で、悲劇が起きた。
事の発端はおそ松兄さんが突然胸を押さえ込んで倒れたこと。両親も外出中、病院にいくお金がなくて無我夢中でデカパン博士のところにみんなで連れていく途中にトド松と一松まで倒れた。
みんなそれぞれ段々に苦しそうになっていって、僕も胸が痛くて、正直ラボに付いたときには立っていられなかった。おそ松兄さんを肩で引き摺って、十四松がトド松を抱えて、カラ松が一松背負って……ラボについた瞬間僕も意識を手放した。
目を覚ました時、博士が重々しい声で呟いた。
「君達は、2人しか助からないダス」
悪松を呼び出した時、僕たちの体から出ていった悪意や闇の塊。いわばそれは巨大なストレスとも言ってもあまり変わりはない。怪物の悪松に成り果てるまでに育ちきった巨大なそれは…僕達六人でも背負い切れない。
でも悪松も自分の体が分裂してるとはいえ、消えるのはたまったもんじゃなかったらしい。よりよい、強い母体を探すために。あるいは強い母体にするために。「心臓に時限爆弾を仕掛けた」らしい。
己や愛する人のためにエゴを撒き散らし兄弟すら手にかける……その罪を被れる一人に寄生するために。
それも悪質な時限爆弾だ。解除方法はただひとつ。
――その人間の恋人が嫉妬したことのある人間に、解除装置仕掛けた。
つまり。僕はおそ松兄さんと付き合っている。一度。ほんとに一度、一松に嫉妬したことがある。
僕は、一松が殺される事で助かる。
逆に言えば、おそ松兄さんを助けるにはおそ松兄さんが嫉妬したことがある人間を倒せばいい。
デカパン博士の装置を使って解除装置を持つ人間を見てみた。
僕は、一松。
おそ松兄さんは十四松。
カラ松はおそ松兄さん。
一松はトド松。
十四松はカラ松。
トド松は僕。
六人がバラバラだった。
もちろん普通なら自分の身を守るために一人殺して終わりかもしれない。
でも。
「……でもさ。これって、俺、おそ松兄さん、十四松、もしくはトド松にやられる可能性、あるよね?」
一松。
「だって、じゃないとクソ松死ぬんでしょ?それに、みんな自分の恋人は守りたいし殺せないしやる必要ない。……つまり、博士が言ってることはそういうこと。
みんな、お互いの恋人と二人になるまで終わらない。それに。たとえばだけど。俺がカラ松守るためにおそ松兄さんをやって、自分守るためにトド松やったとしても俺に身の危険は残ると思わない?」
「え、なんで?だって、時限爆弾は……」
「チョロ松兄さん、十四松。どう?…俺、安全?」
一松はこのゲームの真意をわかっていた。そうか。だからこれは二人しか助からないんだ。
「………俺はもとから一松を倒さなきゃ、だけど………真っ先に狙う、かも」
「……僕も、トド松、いなくなったら……」
「そう。それに。俺は十四松も狙わなきゃだよね?だって、十四松がカラ松をやったらまずい。トド松もそれに加担するから余計。……みんなもそれは、………おんなじ。」
ここで僕は気づいた。
一松………
なんか、一松の体。
黒い煙…?に覆われてる?
「……一松……?」
一松が不意におそ松兄さんへ近付いた。
「……なに、これ、僕、………頭、……痛い。……重い……」
「い、いちまつ?ちょ、だ、大丈夫、…っ!?」
直後、一松はおそ松兄さんに飛びかかった。
首を絞めていた。
「「一松!?」」
「な、なにをしてるんだ一松!やめろ!」
「一松にいさん!?」
「っ……は、…はあ…っ………なにこれ、体が言うこと聞かない……!っ……にいさ、ごめ、」
「かはっ!う、離っせ、いちま……!!!」
「っ!…あ……、」
一松?
どうしたんだよ。
目がしんだ魚みたいだった。紫色に濁っていて。
「カラ松、…カラ松、カラ松カラ松カラ松!!僕がカラ松を守る……何を犠牲にしてでも。何を犠牲にしてでも…あいつを終わらせるやつなんか!みんな!いらないっ!!」
「やめろ一松ッ!!!」
はじめて見た。
カラ松が、一松に手をあげたとこ。一松の目がすっと元に戻って…。
「……あ…れ、…え?……あ、俺、なんで………あ、…おそ松、にいさ、…っ!な、え……」
今度は、僕が、おかしくなった。
そこで気付いた。
――イイノカ?ダイジナオソマツガキズツケラレタゾ―――?
悪松の、声………!!
悪松が一松にこうさせるため唆したんだ!
そこから先はよく覚えていない。どうやら僕はおそ松兄さんの上から一松を引き剥がし、近くにあったフラスコ(運良く?アクリルのものだった)で一松の頭を殴ったらしい。
今度はカラ松がそれを見て…僕からフラスコを奪い取って髪をわしづかんで、それを見たおそ松兄さんがカラ松兄さんの腹部を殴って…逃げようとした十四松とトド松にたまたまガラスのフラスコがぶつかって。みんなしばらく濁った目をして戦っていたらしい。
デカパン博士が止めにくるまで地獄だった。
僕たちはそれぞれ二人一組になって町でサバイバルゲームをすることに、なってしまった。
レスきん。
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