xxx 2016-05-20 12:45:36 |
通報 |
>
(相手が中和薬入りの酒を口にしてくれ毒を凌いでは、ほっと肩を撫で下ろし後は組織の者に“どうせ耐性がついただけだ”と適当に言い訳すればいいとすっかり気を抜いて。
そのせいで強いお酒を注文されたことなど全く気が付かずに、外国人にお酌されたのは今まで出されているものと同じだと思い、それなら酒の弱い自分でもまだ大丈夫だと。
口に運ぶ直前、相手に制止されては突然のことに驚き訝しげに相手を見てはその意図を探る。
様々な考えが交錯し「どうした?」と自分が問う前に、中々酒を口にしない自分にじれた取引主が口を開いて。
『菊、折角彼がお酌してくれたんだ。さっさと飲まないと失礼だろ。それに爛、お前も呑みたいなら自分のを飲みなさい』
(すみませんねと外国人に謝り、視線が自分に注がれてはいよいよ飲まないといけなくなり相手の手を退けさせては疑心を抱きながらもお猪口の酒を半分ほど流し込み。
瞬間、熱い塊が喉から食道を通り一気に胃まで落ちてきて、いつまでも身体の内を焼くような感覚に小さく噎せて。
『おいおい、何してるんだ。さっきから失礼だぞ』
「…いや、だってこのお酒……」
(明らかに先程まで呑んでいたものと違うと抗議しようとするが、お酌を飲めないこと事態が失礼。
了見を飲み込み、せめてこの一杯だけでも飲まねばと少しずつ口に運び何とか会食終わりまで繋いで。
そして解散となり部屋を出るというところ、ゆっくり立ち上がるもぐるぐると酒が身体をめぐるのが嫌でも分かり、襲い来る浮遊感に眉間を押さえる。
情けない姿は相手に見せたくないが今歩いたらもっと醜態を晒してしまいそうなため、暫く休んでいくと取引主に断りを入れては、一人部屋に残り。
先ほどとは打って変わって静かな空間。少し涼もうと日本庭が臨める襖を開いては、縁側と部屋の丁度真ん中あたりに腰掛け身体を襖にもたせかけ。
少し肌寒い夜風は火照った身体には心地よく、静かに瞼を閉じ気持ちを落ち着かせる。
_これから先どう相手と関わっていけば良いのか…いくら考えても今の頭では打開策は浮かばず、先程相手に掴まれた腕の部分がジワリと熱を持っては相手の名を小さく呟いていて。
トピック検索 |