xxx 2016-05-20 12:45:36 |
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( 屋敷を出た後、先程の相手が取引主の男に擦り寄る姿や自分に対してのあの冷たい視線などが再び脳内に流れて来ては行き場のない苛立ちとやり切れなさが溢れて。
“見世物みたいに能力を使うな”と切なげに言ったあの時、相手はどんな気持ちで何を思ってその言葉を言ったのだろうか。
只の哀れみかそれとも、等と淡い期待を振り払う様に首をぶんぶんと振っては明日の為にも早く逸早く孤児荘へと戻り身体を休めようと。
( 翌日の夜、取引主と屋敷にて今宵の流れなどを説明されている最中も取引主は相手がさぞお気に入りの様子。
しっかりと相手を隣に付き添わせては相手と自分が話す瞬間などある筈も無く、姿を変えるように命じられれば大人しく言う事を聞く。
まだ若干怯えた様な態度を見せる使いの者に首輪を付けられては取引主は相手を連れ先に派手な馬車へと乗り込み。
高い位置から見下ろされながらも手綱はしっかりと男の手の中にあり、好奇の目を向けられながら街の大通りを歩かされるのにはやや屈辱を感じるもここは早く取引を済ませるのが優先だと堪えて。
( 祭りも始まり主催者の挨拶等が一通り終わった後、この祭りの資金等に多く関与してる取引主の挨拶(と言っても相手と自分を見せびらかす為だけの演説)が始まっては自慢げに話す男のその姿をつまらなそうに見詰める。
長い話の中盤、不意に壇上に幼い少女が上がってくるなり自分の目眩に立ってはじっと見詰めて来て。
取引主は壇上に庶民が上がってきた事に一瞬むっとした表情をするも、目線で『愛想でも振りまいとけ』と伝えられては再び少女に目をやる。
『あのね、狼さんが好きな飴私持ってるの。あげるね、はい、あーん』
( にこやかに飴を口元にやってくる少女を拒むにも拒めず仕方無しにぱくりとそれを咥えれば口の中で一瞬で溶け、それは舌を痺れさせる様な感覚と共に頭に激痛が走って。
自分の様子に取引主の男が『爛、どうした』と声を掛けるも今自分の目に移っているのは“取引主”ではなく過去に自分を見世物として弄んでいた“見世物屋の店主”の姿で。
様々な感情が流れ込んで来るも一番の感情はやはり恐怖、狼姿のまま離れようと後ずさるも手綱がそれを許してくれずがむしゃらに暴れては能力が中途半端に解けてしまい、長く鋭い牙と獣の瞳をそのままに人姿に戻ってしまい。
観客の悲鳴が飛び交う中取引主の使いが自分を取り押さえようとするも恐怖に囚われた思考はまともに働いてくれずに。
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