xxx 2016-05-20 12:45:36 |
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( 夜、と言っても目覚めたのは夕方。
少し早いが女教師を探す手間を考えまだ空が完全に染まりきる前に孤児荘を出ては一度寺子屋の近くへと訪れる。
訪れたは良い物の、流石に女教師も帰ってる時刻だよなと判断してはさてどうするかと考えるも仕方なく探すしかないかと。
寺子屋の玄関口から回れ右をした所で女物の簪が落ちてるのに気付けばそれを拾い上げる。
橙色のそれから僅かに感じ取った匂いは微かに覚えてる女教師の物。
これは運が良いと、一度路地裏へと入り狼化してはスンスンとその匂いを人目を避けながら辿って。
( 匂いの先はどんどん人目のつかない場所へと入り辿り着いたのは一軒の酒屋。
人の姿へと戻り狼時よりその嗅覚は僅かに劣るがスンと鼻を鳴らせば嗅ぎ慣れた相手の匂いまで嗅ぎ取れぎょっとして中を覗く。
「………冗談きついな」
( 実に面倒な事になったと髪を掻き乱しては取り敢えず相手達が出て来ない限りは話にならないと酒屋の屋根上で相手達が出て来るのを待って。
( 夕方まで女教師は子供達の事や英語の授業の話をしてたが夜になった頃、どこか切なげな表情でやっと話の本筋へと持って来て。
『私、ずっと先生なりたくてね。日本の文化もすごく魅力的で、だから日本で英語を教える先生になるって決めてあっちで必死に働いてやっと日本に来たのよ』
( ポツリポツリと話し始める女教師は不意に着物の腕を捲り上げ、二の腕の所に歪に付いた焼印を見せてきて。
『日本人でも英語が話せなきゃ外国との取り引き不便でしょ?そこで組織に必要なのは英語も日本語も話せる存在。外国の私は特に狙われたの』
( 着物を戻しながらどこか切なげに微笑んでは『ほら、菊さんにはなんであんな仕事してるのか話さなきゃと思ったのよ!勘違いされてたら嫌だし…』とあたふたとして。
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