匿名さん 2016-05-12 23:16:13 |
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やがて、歌が終わった。少女が振り向く。可憐に揺れる純白のワンピースと柔らかそうな金髪の映える後ろ姿から、女は無意識の内に、少女の顔立ちも美麗な仏蘭西人形の様であることを想像していた。
しかし、月明かりに照らされ、視線の先に映し出された少女の顔立ちは其の予想に反していた。黒鳶色と思わしき瞳は円らで、白く見える頬にはふっくらと肉が付いており、其の上には赤い雀斑が散っている。洗練された麗しさではなく、地味で素朴な愛らしさが感じられる、幼い顔立ちが其処にあった。
振り向いた少女は女に気が付くと、一瞬、目を丸くしたが、直ぐに口元を綻ばせ、次は広場の真ん中辺りにあった石の台座の上に飛び乗った。抜けた空を見上げ、浮かんでいる月に聞かせるかの様に、次の歌が始まる。
台座に腰掛け、瞳を閉じて歌う姿には確認したばかりの容姿のあどけなさを忘れさせられる様な、ぞっとする美しさと不思議な威厳があった。
目が合った時こそ、胸に緊張感を走らせた女だったが、今はまた、先程迄と同じ様にただただ、少女の世界に引き込まれ、魅せられる。
「妖精なのかな…。」
思わず、呟く。すると、背後から男の声で応答があった。
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迷惑にならなかった様なら
良かった(^^)
至らない点や
理想の展開があれば,
随時,御伝え下さい.
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