匿名さん 2016-05-12 23:16:13 |
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「ああ、そういえば貴方、自己紹介はしたの?」
思い出したかのような調子で少女は男に問い掛けた。
「自己紹介? いや、お嬢様の話しかしていませんね。」
男が答えると、少女は黙って男を見詰める。男は察したように女のほうに向き直った。
「僕の名前はレヴィナス。昔は蛇の皮を鞣す職人だったんだ。」
男は先程と同様の落ち着いた口調で自分のことを話してくれた。元々は普通の革職人だったらしいが、雇われて少女の父親の下で働くようになり、そのうちに残虐な商売の片棒を担ぐようになってしまったらしい。
清純な女性に恋をしたことをきっかけに足を洗おうとしたが、認められず、この森にある泉に沈められてしまったのだとか。
「次に目覚めた時には、蛇の姿になっていた。何度も人間に捕まり、皮を剥がれたが死ぬことはできなかった。」
此処が不思議な森であることは噂に聞いていたが、此れ迄に聞かせて貰った話や目の前で起こったことは女の想像を上回るものであった。
「でも、実は、蛇の姿でいる時は死んでいるようなものなのさ。人としての気持ちを忘れてしまっているからね。僕が人間としての命を取り戻せるのは、今日のような夜だけなんだ。」
人間に追い回される日々なら、恐らく、安らかな気持ちで過ごせるのも今日ぐらいのものなのだろう。男と少女の関係性に触れた女は、話を聞く内にぼんやりと自分の身の上にも思いを馳せた。
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主様、来なくなって
しまったようだなァ・・・。
自分も此のあたりで
投稿を休みますm(__)m
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