藤村伊織 2016-05-07 12:59:57 |
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…悪かった。早く治せよ。(己を遠ざけようとしながら声を張り上げたかと思うと、頭にでも響いたのか一瞬痛みを表情で訴える。嬉しさのあまり、病人相手に流石に調子に乗りすぎたかもしれない。反省しつつ半分不貞腐れたような声音で、背中越しにぼそりと謝罪をし。しかし自業自得とはいえ背中を向けられてしまえば寂しいような切ないような感覚に胸が締め付けられて。軽く歯を噛み締めると、少し開いてしまった隙間を埋めるように後ろから控え目に腕を回して再び寄り添い。距離を埋めたにも関わらず、今度は相手の匂いと温もりに益々切なくなるような気がして言葉に詰まる。胸がきゅっと締まる感覚と同時に鼓動が速まり小さく息をつき。_…何だっていうんだよ。 それは相手以外には感じた事のない初めての感覚。戸惑いの中、それが愛しさ故のものだと思い知らされる。突き上げるような愛しさに抗えず、少しだけ腕に力を込めると髪に軽く口付ける要領で唇をあて。そのまま静かに温もりを感じていれば腕の中のそれが心地よく感じつきて。幸福感の中やがて緩やかに訪れる眠気に瞼を閉じると、穏やかな声音が自然と溢れ)
……あったけぇな、カブキ…。…おやすみ。
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