藤村伊織 2016-05-07 12:59:57 |
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歩く事すら出来ないような病人放って帰る程薄情じゃねぇよ。簡単に移るほど柔じゃねぇしな。(毛布の在処を聞けば了解とばかりに軽く頷き、立ち上がってクローゼットから取り出しながら、このまますんなり帰る気はない事を伝え。相手の言うように窓の外はいつの間にか暗くなっているが、雨の中を引き返す事にしたあの時点でそれなりの決意はしたわけで。それに─、相手の身を心配する中で、こうして近くに居られる時間が延びた嬉しさが誤魔化せないのも事実。下心を悟られない為にもっともな理由をつけて此処にとどまろうとする自分が酷く滑稽に思えるが、引き下がる気は更々ない。しかし秘めた想いといつ暴走するかわからない感情を抱えたまま必要以上に近付く事の危うさも感じており。交差する複雑な思いに苛まれる中、平常心を装いながら毛布をかけ直せば、テーブルに置いた薬と水を手にし相手の方に差し出し)
…ほら薬。どうにか起きて飲め。
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