藤村伊織 2016-05-07 12:59:57 |
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…ンだよ、んな急かさなくてもいいだろうが…(相手の体調が気になり様子を窺っていると、何やら半ば強引に背を押されドアを閉められてしまい。まだ一緒に居たかった己とは真逆に、さっさと帰れの如く追い出すような形で送り出す相手。何となく惨めな気持ちの中、振り返ると閉められたドアに向かって恨めしげに小さく呟く。とはいえいつまでもそこにいるわけにもいかず、小さく息を吐くと傘を差しその場を後に。雨の中ぼんやりと考えるのは言うまでもなく相手の事。今日一日の事を振り返りながら歩いていると、不意に軽い寒気に襲われくしゃみをひとつ。…あいつ、マジで大丈夫なのか? やはり気になるのは帰り際の相手の様子。歩く速度が自然に緩まり、やがてとまる。杞憂ならいい、だけど──…。 一度気になると確かめずにはいられず、水音を立てながら来た道を急ぎ足で引き返し。やがて彼の自宅まで辿り着けば、幸い鍵がかかっていなかったのをいい事にズカズカと勝手に上がり込み。「…カブキ…!」リビングのソファーでぐったりした様子で横たわる相手が視界に入ると目を見開き。慌てて近寄っては少々乱暴に額に触れ、伝わる熱に顔をしかめ)
ばっ…、お前やっぱ熱あんじゃねぇか。
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