☆ 真っ白な雪が溶けて、もうじき桜が咲く。 この半年間の僕の悲しい記憶も、雪とともに溶けてなくなってほしかったけれど、そうすることで幸せだった記憶もなくなる気がしてその心を押し込めた。 あの半年間の思いでは淡く儚く脆いものだけど、僕を強く成長させてくれたものだから。 そんなふうに内側に呟きながら僕は、まだ堅くつぼみを閉じた桜の街路樹をゆっくりと歩いた。