フルムーン 2016-05-03 02:16:08 |
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僕はにしんを一尾口にくわえた、そして焼くという行為は魚の旨味を実によく引き出す物だと知った。
焼かれたにしんは臭みもなく肝の苦味も少ない、人間や飼い猫はこんな美味なる物を食っていたのか。
もう一尾のにしんも口にする。
僕の為にだろうか、にしんからは僅かな塩味しかしなかった。
美味い物をたらふく食える生き方と自由な時間を過ごせる生き方、二通りの生き方。
今なら僕はどちらを選ぶだろう、いや、きっとどちらも選ばない。
飼い猫になるとしても、この目の前で優しく微笑み掛けている笑顔が無けりゃ飯も美味くは感じないだろう。
野良は確かに気楽だ、だけど共に命の危険も伴う事もある訳だ。
何よりこの人間が居ない、それはなんと寂しい事なのだろう。
こんな風に考える自分を、今まで想像も出来なかった。
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