フルムーン 2016-05-03 02:16:08 |
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――ポタリ――。
一つの雫が僕の脳天に落ちてきた。一体何だというのだろう、青年は気に入らなかったのだろうか。
上を見上げれば澄ました青年の顔では無く、くしゃくしゃになった青年の泣き顔がそこにあった。
何だ、僕は間違ったのか。驚きと動揺を隠せず尻尾を垂らし耳を折る僕を見て、涙をたっぷりと浮かべたまま青年は笑った。
「有り難う。お前は優しい子だね、最後まで一緒に居ておくれ」
鼻声になり僕の頭に落ちた涙を拭う様に優しく頭を撫で、何処か意味深に何故か悲哀染みて青年は言った。
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