悲しい。生まれて初めてそんな感情が湧く、今迄嫌いだった人間に向けてそんな事を思う。可笑しい、全くもって可笑しいな僕は。けれど、青年を見ていると人間の真似事をしたくなる。人間では男女が行う所を見た、飼い猫曰く好意がある者への行為だとか。好きだ、僕はこの人間が堪らなく好きだ。だから、僕にも何か聡一郎に贈りたい。僕は青年の口にそっと、口付けた。