フルムーン 2016-05-03 02:16:08 |
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青年が一つ咳をした。
それは食事を終えて二、三と時を刻んだ頃。
毛繕いの為に腹を出し仰向けになっていた僕は驚き目を丸めた、青年はばつが悪そうに眉を下げた。
「すまないね、驚かせてしまった」
いや、それよりお前体調が悪いのではないか。
そう聞いても所詮は解り合えぬ猫の鳴き声が部屋に響くのみ。青年が口を開きかけるも、同時に障子が開かれる音と紡がれた青年と違う声音に僕は尻尾の毛を逆立てた。
「聡一郎、猫なんて入れて…」
障子が開かれた其処には、和服姿の似合う青年と顔立ちの似た女性が立っていた。
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