骸 2016-04-08 23:42:33 ID:a579d8c6e |
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【朝と夜】
___ねぇ
語り掛けても何も返してくれない大嫌いで憎い冷たくなった手を強く握り締めた。望んでた事が叶った時、僕はただただ死にたくなった。
___まだ、夜明け来ないの?
体温を失った頬に手を添えながら問い掛ける。返せる訳も無いのにこんな事してる僕は大馬鹿。何度見ても慣れない。何度触れても慣れない。こんなに馬鹿な僕は泣く権利も無い事を承知で赤く濁った涙を流す。
___ごめん
何に謝ってんの。今更遅い。こうなるまで分からなかったの。結局馬鹿で愚鈍で消えれば良いのは自分じゃん。
膝を抱えて泣きじゃくってる僕に、冷たい顔でそう責め立てる僕。鼻をすすりながら顔を上げて僕と目が合った時「こんなに冷たい顔してたんだ」と背筋が凍った。あぁ、そりゃお前も怯えるよ。と硬い彼の額を撫ぜる。
泣きじゃくって責められて後悔して謝って死にたくなって心細くて…なんて事してる内に大抵すぐに夜が明ける。
___おやすみ
とか何とか呟いて、今度は僕が冷たくなった。夢なんて見れない眠りに就いた、の方がお似合いかな。
___おはよう
冷たくなっている彼にそう語り掛ける。声が震えてしまうのは仕方無いだろう?泣いていないだけ進歩したと認めてほしい。
俺が目覚めた時、こいつは眠りに就いて。俺が眠った時、こいつは目覚める。ふざけてるとしか思えない半強制的な擦れ違いに最初は何度も嗚咽を漏らした。今は……もう、泣かなくなった。
___良い夢は見れそうか?
目元が赤く腫れている事に気付かないフリをしながらズルい俺は微かに漏れ出る朝日を眺める。いつからか、月夜は見れなくなってしまった。俺が見ている世界はいつも明るくて清々しい。一日をリセットして始まった朝に目覚めているからな。こいつが見ている世界は暗くて心細い。疲れきって誰も彼もが独りになる一日の終わりに目覚めるからな。
___すまない
何に謝ってるんだ。今更遅くないか。こうなるまで分からなかったのか。結局人に優しくする自分が好きだっただけだろ。
懺悔する俺に何の感情も窺い知れない俺が責め立てる。俺と不意に目が合った時、得体の知れない者として素直にに恐怖を感じた。お前が攻撃的になるのも仕方無いな。と硬い彼の額を撫ぜる。
俺と共に目覚める残り二人と、こいつと共に眠りに就く残り二人。俺達六人は、いつの間にか悲劇の主人公に成り下がっていた。「神様」だなんて、誰が言った。
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