mey。 2016-04-02 10:13:09 |
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二章 監禁
『…………ぃ、…ぉ…ろ……。』
何か聞こえる。よく聞こえないけれど、妙な寒さは感じる。なんだ、もう朝か。また今日もなにもすることなんてないのに、朦朧とする中いきなり身体を強く揺すぶられ反動で目を覚ます。
『よ、良かったあ…。お前目覚まさなかったら、俺マジ泣くとこだったわ』
まだぼんやりとした景色でも見える、おそ松兄さんの顔。鼻の下から血痕が滲んでいる、少し涙目なそんな顔。手にはべったり、朱黒な液体をつけている。
「此処、何処。」
徐々に取り戻してきた意識で、上半身を起こすと同時に頭に痛みが走る。小さく呻き声を洩らし、痛みを発する頭に手を当てると生温い液体が手についた。
「なんだよ、これ………っ。」
『ちょっ、まてまて!あんまり触んなよ、お前なんか頭ぶつけた?すっげえ出血してて。』
頭を抑えつつパニック寸前の中、辺りを見ると同じく怪我をおおった兄弟たちが壁にもたれ掛かっていた。カラ松兄さんは、顔面にパンチを食らったか頬に痣が。一松は比較的無傷に見えるが、なにかぶつぶつ呟いて震えている。十四松は右腕を痛そうに抑えながら、一松にカラ松兄さんと一緒に明るく話しかけている。トッティは、右の指先がもう無く涙をぐっと堪えている様子だ。あとは、皆に共通して言えることすれば皆を怪我しているといったところだろうか。
比較的軽傷であるおそ松兄さんがみんなの止血をしたんだろうか、履いていたジャージのズボンは膝の上まで千切れていて。それぞれ兄弟たちの患部に、不器用ながらくくりつけられていた。
『なあ、皆。とりあえずさ、一旦此処に来たとき何があったのか一人ずつ話してくんね?』
こういうときやっぱり、一番助けてくれるのは長男なのかもしれない。パニック状態だった頭は徐々に冷静さを取り戻し、一旦大きく深呼吸すると状況を整理しようと頭をフル回転させた。
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