北風 2016-02-21 02:03:29 |
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歩は20分程かけて、ゆっくりと弁当を平らげた。
「……………………じゃ」
そして僕に向かってそっけなくそう呟くと、裏庭から去って行った。
歩の姿が完全に見えなくなると、僕は立ち上がって自分の学校へと戻った。
歩は去年から苛められている。
クラスで孤立し、毎日毎日クラスメイトから暴力や暴言を浴びせかけられていた。
その苛めは去年の春、僕らの母さんが死んだ時から始まった。
否、殺された、と言う表現の方が正しい。
ある日、僕らが学校から帰って来ると、母さんが居なかった。
出かけているのだろうと思い帰りを待ったが、母さんは夜九時を過ぎても帰ってこなかった。
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