転生乱舞 ~ 目が覚めたら其処は 異世界だった

転生乱舞 ~ 目が覚めたら其処は 異世界だった

ムーン  2016-02-18 17:52:07 
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親に引いて貰ったレールの上を、何不自由なく生きてきた28年。
旧帝大を卒業し、一流企業に入社。

出世も仕事も順調で、後は嫁さんを貰って勝ち組イエーイ♪
の、はずだった。

仕事で三カ月の海外出張が決まり、その仕事もそつなくこなす。
そして帰りの飛行機の中で…、事件は起きた。


初めはハイジャックかと思ったが、テロだった。
それも自爆テロ。

犯人の動機も目的も、何もわからないうちに飛行機は爆破された。

そして、俺が目を覚まし、気が付いた時には、そこは異世界だったのだ。

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  • No.87 by ムーン  2016-04-23 14:35:46 

第二十六話
■ 俺は子守じゃねぇ! そして最終回? ■


おはよう。

今日の予定は、ローズをアシデ島行きの船に乗せてから、ギルドに向かおうと考えている。
昨日大量に稼いだのにまだ金が欲しいのかと思うだろうが、金は幾らあっても良いに越した事はないからな。
それに、ロジャー達が迎えに来るまでに、皆に新しい武器も作ってやりたい。
折角錬金術を覚えたのに材料が揃わないせいで作れなかったと言う事もあるが。
だけど此処ではかなりの材料が揃いそうだ。
後で本屋にでも行って魔物図鑑でも購入するか。
分布図とか載ってそうだしな。

そうと決まれば朝食を食べてチェックアウトの手続きでもするか。

俺は荷物を纏めるとウエストポーチの中に入れる。
忘れ物が無いかもう一度辺りをチェックし、忘れ物が無い事を確認すると部屋のドアを開けて廊下に出る。
ドアはそのまま開けっ放しでいい。
それがチェックアウトのサインなのだ。

ローズの部屋のドアを見ると、まだ閉まっているままだ。
寝てるのか?
寝ている女性の部屋。否、ローズの部屋に起こしに行ったものなら何をされるか分かったもんじゃない。
激しく罵倒された後に殴られるかもしれん。
放って置くに限るな。

そのまま食堂まで下りて行くとローズが居た。
・・・・・先に食べてたのね。まあ良いけど。

ローズは俺の姿を見つけるとプイッとそっぽを向いた。
まだ怒ってるのか。しょうが無い奴だな。
俺は悪くはないと思うが、ここは一つ大人の対応でもしとくか。

「まだ怒ってるのか?悪かったよ」
「それで誤ってるつもりなの?!アンタって本当に常識が無いのね!」

俺は頭をポリポリ掻きながら今日出港するアシデ島行きの船の事を話す。

「別に許してくれなくてもいいんだけどさ。今日だぞ。アシデ島行きの船が出るのは」
「し、知ってるわよそんな事ぐらい」

あっ。これは完全に忘れてたって顔だな。目が泳いでるし。

「なら準備は大丈夫なんだろうな」
「当たり前じゃない!」

そう言うと残りの食事を流し込むように食べたかと思うと急いで部屋に向かって行く。

魔だ何にもやってないな。アイツ。
俺は大きなため息をつきながら朝食を取り、食べ終わるとローズの部屋の前に行った。
ノックをしようかどうしようか迷っていると、中から慌ただしいバタバタとした足音が聞こえる。

そんなに荷物なんか無かったのに何やってるんだアイツは…。

ドアが勢いよく開き、中から顔を出したのは息が切れて「ハァハァ」言っているローズだ。

ドアとローズの体の隙間から中を覗くと、部屋の中には大量の荷物が・・・・。

「その荷物どうしたんだ?」
「買ったのよ!」

「何でそんなに大量に…」
「別に良いでしょ!アタシの勝手よ!」

腕を組みふんぞり返り、偉そうな顔をしている。
そんなにたくさんの荷物どうやって運ぶつもりなんだろう。
嫌な予感はしたが敢えて聞かないようにした。

「準備が出来たなら行くぞ」
「ちょっと待ってよ!この荷物はどうするのよ!」

やっぱりそう来たか。

「自分で買った物は自分で運べよな」
「はぁ?!荷物運びなんて奴隷のする事でしょ!」

「なら奴隷にでも運ばせたらいいさ」
「だから運びなさいって言ってるのよ!」

「・・・・・・‥俺はお前の奴隷じゃない。何度言えばわかるんだ?」
「出来損ないがアタシに楯突こうって言うの?」

ダメだこりゃ…。呆れを通り越して哀れみにさえ思うぞ…。

「はいはい。分かりましたよ。お嬢様」

取り敢えず船に乗せてしまえばそれでオサラバだ。
それまでの我慢だ我慢!

宿の女将さんに話し、大きめの木箱を譲り受けて、その中に荷物を隙間なく詰め込む。
そのままじゃ重くて持てないので、重力魔法を木箱にかけ、その重さを十分の一にする。
三㎏位ならローズでも持てるしこれで良いか。

俺は荷物を抱えながら船着き場まで行き切符を買うように促す。
切符を手にしたローズを連れて船に登る階段の所まで来ると、荷物を渡し持つように言ったが拒否された。
部屋まで運ぶのが常識なんだってさ。

階段の下の所で船員が切符の確認をしながら客を乗船させていたが、当然俺は切符を持っていない。
なので乗船は拒否された。
だがここは奥の手を使おう。

「ああ。すいません。俺は個人的に頼まれた荷物運びをしてる冒険者なんですよ」

そう言って袋からギルドカードを取り出し見せる。

「なるほど。ご苦労さん」

たまに居るらしい。
同じ宿に泊まっている冒険者を捕まえて荷物運びを依頼する客が。
俺もそれだと思われたみたいだ。

ローズの部屋に荷物を運び入れると、俺はそそくさとその場を後にし下船した。
ローズに気づかれると煩いのでシャドースキルの透明人間を使っての移動だ。
もし俺が居ない事に気付いたとしても、船のどこかに居るだろうと探すだろう。
だから俺は確実に船が港から離れるまでシャドーを解かなかった。
下船してるのがバレて降りられても困るからな。
後は自分で何とかしてくれ。
箱はデカくても軽いから自分で持ってくれよな。



― ボボーーーーーーーッ


船の出向の合図だ。

元気でな!

心の中で呟くと、何故か爽快感が押し寄せてくる。
やっと子守から解放されたという安ど感から来るものかもしれない。
これで俺は自由だ。そう思うと笑みが零れて来た。

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