ムーン 2016-02-18 17:52:07 |
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待ってる間、精霊たちが俺の周りに集まって来たが、話しをすると言う事はないようだ。
どうやら小さい精霊は喋れないらしい。
小さい精霊に交じり、少し大きい5~6cm位の精霊がたまに居るが、そいつ等は喋れるようだった。
だが無口なのか向こうからは話しかけてくる様子はない。
「あのちょっと大きい精霊は?」
『うん?あれは上級精霊よ』
「上級精霊って?」
『小さいのが下級精霊。人間で言えば幼児ね。
少し大きいのが上級精霊。人間の年齢で言えば14・5歳ってとこかしら。
纏ってる色の魔術が使えて、それを人間に分け与える事ができるわ。
良く見てごらんなさい。
ロジャーの傍には赤い色を纏った上級精霊がいるでしょ?』
馬車の方に目を向けると、中から出て来たロジャーの傍には確かに赤い色の精霊が居た。
『だから彼は魔術が使えるのよ』
「なるほど~」
『なんだシオンは知らなかったのか?』
目が覚めたのか、足元に居たシルバーに言われてしまった。
「ああ。初めて知った。ってか、初めて精霊なんて者を見たぞ。
なんで急に見えるようになったんだろ?」
『たぶん俺のせいだな』
「何でシルバーのせいなんだ?」
『俺は自然を操る妖魔だからね。
森の中じゃ精霊達とは仲が良かったからじゃないかな。
それに、俺はシオンの従魔になったわけだし、俺の力がシオンに移っても
何ら不思議じゃないだろ。
そう言うもんだ」
「・・・・・・・そう言うもんなのか」
シルバーは面倒臭そうに大きな欠伸をして伸びをした。
『まっ、大体そう言う事ね。
だからこれからが大変かもしれないわよ?
だって貴方、良い匂いがするんですもの』
そう言ってベルは、シオンの匂いをクンクンと嗅いでいる。
匂いって何だ?匂いって?!
俺ってば精霊に食われるのか?!
マジやめて。マジ勘弁。
だからさっきから精霊が俺に寄って来るのか!
『違うわよ。精霊は人間なんて食べないわよ。
シオンの匂いを嗅ぐと癒されるのよ。
それにね。シオンに触れると元気になるって言うの?
人間で言うヒーラーの様な物がシオンから出てるのよ』
・・・・ってか・・・俺、今言葉に出して喋ってたっけ…?
痛い子やん。マジ痛い子やんか!
『喋ってないわよ』
『喋ってないな』
「・・・・・・えっ?」
『言わなかったっけ?
脳内で会話できるって』
言ってねぇし!!!
初めて聞いたし!!!!
『ごめん。言うの忘れてたわ』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
俺は顔を顰(しか)めてガックリと肩を落とし俯いた。
「何朝っぱらから辛気臭ぇ顔してんだ?」
声の方を振り返れば、ロジャーが訝しげな顔で俺を見つめていた。
そして何故かおでこに手を当てられ、ロジャーは首を傾げている。
「熱は無いな」
そっちかい!
でも、痛い子を見る目で見られるよりはそっちの方がまだマシかな…。
俺は力なく笑い、誤魔化した。
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