転生乱舞 ~ 目が覚めたら其処は 異世界だった

転生乱舞 ~ 目が覚めたら其処は 異世界だった

ムーン  2016-02-18 17:52:07 
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親に引いて貰ったレールの上を、何不自由なく生きてきた28年。
旧帝大を卒業し、一流企業に入社。

出世も仕事も順調で、後は嫁さんを貰って勝ち組イエーイ♪
の、はずだった。

仕事で三カ月の海外出張が決まり、その仕事もそつなくこなす。
そして帰りの飛行機の中で…、事件は起きた。


初めはハイジャックかと思ったが、テロだった。
それも自爆テロ。

犯人の動機も目的も、何もわからないうちに飛行機は爆破された。

そして、俺が目を覚まし、気が付いた時には、そこは異世界だったのだ。

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  • No.11 by ムーン  2016-02-24 23:14:31 

第六話

■ 仲間 ■


俺がこの孤児院に連れて来られた時に、最初に声を掛けてくれたのがロイドだった。
ロイドは結構面倒見のいい奴で、ここで平穏無事に過ごすコツを教えてくれた。
目立たず、騒がず、従順に。だそうだ。

そして、この小屋に住んでる子供というのは、館の方に住んでる子供の、世話係の様なものだという。

ロイドは俺を連れて井戸の側に行くと、洗濯の仕方を教えた。
洗濯が終わると、木と木の枝にロープを繋いだ物干し代わりの紐に、洗った物を干す。

バケツに井戸水を汲み、厨房にある大きな瓶の中に水を入れる。
満杯になるまで何往復もした。

館の周りの枯葉拾い。
各部屋の掃除。
やる事は沢山ある。
まるで奴隷かメイドの様な仕事だ。

俺達は魔力が弱いため、それくらいしか使い道が無いのだとか。


同じ孤児なのに、館に住んでるガキ(孤児)には腹が立ったな。
まるで俺達を下僕の様に扱いやがった。
いつか泣かす。

俺はまだ小さいので、枯葉拾いが主な仕事だ。
しかし、ウザったいぐらいに木が多い。
そんなに中を見られたくないのだろうか。
そのせいで落ち葉が多いんだよ!
メンドクセー。

「まったく…、履いても履いても減りやしないな。
 木、燃やしちまうかな…。」

恨めしそうに木の枝に付いてる葉っぱを見ながら、そんな事を思っていたが、
ふと、俺は思った。

「そう言やぁ、なんかのアニメで、つむじ風で掃除してたアニメがあったな…」

俺はつむじ風を魔術で起こそうと頑張った。

まずは、地表の温度を上げて、上昇気流を作る。
そこに風を纏わせ、小さな小さな、つむじ風が出来上がった。

「よっしゃ!出来た!」

俺は周りの気配を気にしながら、ホウキで履くふりをしつつ、つむじ風で落ち葉を集めた。
超、楽である。
だってさ、つむじ風に付いて歩くだけでいいんだぜ?!
ルンバに付いて歩いてるようなもんだ。

ルンバには稼働時間があるが、つむじ風には無い。
それに、電気代もかからないからお得ですよ、奥さん。

大方掃除が終わった頃に、ロイドがやって来た。

「シオン!手伝いに来たぞ!
 って、あれ?もう終わったのか?
 早いな。一体どうやったんだ?」

ロイドは首をかしげて不思議がっている。

「今日は少なかったから直ぐに終わったよ。お兄ちゃん」

俺は笑顔で答えた。

「そっか~。偉いな~、シオンは」

単純で助かった。


そんな頼りになる(?)ロイドだったんだけど、しばらくした後に、
例の奴隷商人のボリスに連れて行かれてしまった。

ロイドは半分諦めた表情で、口をへの字に固く結び、悲しそうな顔をして連れて行かれた。


ロイドが居なくなった後も、俺は「目立たず、騒がず、従順に」の、教訓を守り、
人知れず魔術の練習をしながら、仕事をこなしていた。

成長するにしたがって、やらせられる事も増えてくる。
タライで洗濯をしてる時、何でこんな原始的なやり方でやってるのかを
不思議に思ったものだ。
洗濯機の要領で、タライに張った水を、魔術で左右回転させながら洗えば楽なのに、と。
バカじゃね?と、思っていた。

水汲みだってそうだ。
なんでわざわざ、井戸まで行って水を汲んで来なきゃならないんだ?
『ウォーターボール』の魔術が使えるんなら、その応用で手から水を流せばいいだけじゃん。
バカなの?

何でそんな事もできないのかが、
分からなかった。
『水流弾』や『水刃剣』とか言う技を使える癖に、そんな単純な事も出来ないのかと
俺は不思議でならなかった。
で、気が付いたのだ。

この世界には、洗濯機や水道と言うものが無い。
それがどういう物で、どう言った使い方をするのか知らないのだ。
知らない物は出来るわけないわな。
失敬。
バカじゃね?とか言ってゴメンよ。


まぁ、そんなこんなで七年が過ぎたんだが、
この七年で、俺の家事スキルはMAXになっちまったぜ!
いつでも自立可能だ。
職業(家政婦)にでもなろうかな…。


=====


俺は今年で十歳になる。
十歳にもなれば、大人の仕事も大概は手伝える。
魔術が使えないという設定なので、力仕事が基本となるが。
それでも十分に使える年齢になったのだ。

そうなると、そろそろ売り時になるのだろう。
大黒屋グラコと元締めジェシカの会話が聞こえてきた。

今の俺の『聞き耳』レベルはMAXだ。
集中をすれば半径2Kmまでは、音を拾う事が可能だ。
普通にしてても、半径100mなら普通の会話のように聞こえてくる。

だが、しかし。
それじゃあ、煩くて仕方がない。
だから俺は、修業をして、必要な時以外は、普通の人と何ら変わらないレベルの音に
抑える事に成功したのだ。

成功した時は感無量だったな。
だって考えてもみろよ。
お使いで買い物に行くだろ?
そしたら、宿屋とかの方から悩ましげな声とか聞こえてくるんだぜ?
まったくけしからん。
真昼間から何やってんだか…。


アグレッシブルな攻撃魔法は使えるようにはならなかったけど、どーでもいい魔法は
かなり習得したし、レベルもそれなりに上がってしまったよ…。


現在使える魔法

※聞き耳Lv5max 
※ヒールLv2(体力30%回復 傷治し)
※つむじ風Lv2(掃除と洗濯に使用)
※土流Lv1(コッソリ作ってる家庭菜園の土造り)
※水弾Lv3(水瓶に直接投入)
※炎弾Lv3(集めた落ち葉やゴミを燃やす)
※サンダーLv3(川で魚を捕る時に、気絶をさせるために使用)

こんなとこかな。
教科書も無ければ参考書も無い。
魔術を教えてくれる人もいない。
一人で出来る範囲はこれぐらいだった。

自分で言うのもなんだけど、
俺、頑張ったと思うよ?
出来れば大技も身に付けたかったけど、ここに居る限り
そんな大技なんか一度も見た事が無い。
見た事も無いものは、仮説も立てられないから使えない。
そう言うカラクリらしい。
残念だ。

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