太陽 2015-12-22 01:12:59 |
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≪5話 続き≫
「ふぇぇ………?」
およそ男子とは思えないような情けない声を出して、彼は涙目でこちらを見上げてくる。
「ま、まず俺達の話を聞いてくれないか?」
※
彼はやはり沖花春だった。
桃菜から気が弱いとは聞いていたが、彼は世間一般でいう「気が弱い」のレベルを超越したビビりだった。
そのため俺達は沖花に話をちゃんと聞いてもらえるまでに一時間もの時間を要した。
だが努力の甲斐あって、沖花はやっと心を開いてくれた。
「えっと……つ、つまり死んだ僕の妹が幽霊になって小森さんに相談してきたわけですね?僕のお守りを取り返して欲しいって……」
「…改めて纏めてみると信じられない話だとは思うが真実なんだ……」
沖花はぽかんとした顔でこちらを見つめてきた。
……まあ、普通は信じないだろうな、こんな話………。
「うん、信じてくれなくてかまわない。でもとりあえず、お前に言っておきたくてな……」
「信じます」
「えっ!?……あぁ…ん、ええっっ?!」
あまりにあっさり言い切られたので、俺は少し動揺する。
「信じますよ、小森さんの話」
俺のそんな反応を見て、沖花はもう一度はっきりと言った。
「え……?信じるの?あの、俺が言うのもなんだけど、何で?」
「僕が妹に貰ったお守りを取られたなんて、面識の無い小森さんが知ってる分け無いじゃないですか。それに、小森さんは僕のお守りを取り返して来てくれるんですよね?そんな良い人を疑うなんて出来ません」
そう言って微笑む沖花。
―この子が女子だったらモテただろうになぁ―
俺はそう思わずにはいられなかった。
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