太陽 2015-12-22 01:12:59 |
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≪5話 続き≫
俺達は走り去っていく彼の後姿をしばし呆然と眺めていた。
……ええ~~~…何あいつ~~……
ビビり過ぎだろ~~
悪の組織にでも追われてんの~~?
………って!じゃなくて!!
「そ、雪!あいつ何か勘違いしてねーか!?」
「あ、…う、うん!…みたい、だな………ちょっと追いかけてくる…!」
そう言って駆け出す雪。
……いや、「駆け出す」と言うより「発射する」の方がしっくりきた。
雪は20mはど離れていた相手にものの数秒で追い付き、減速できずにそのまま激突した。
「ぐはあっ!」
叫び声を上げて吹っ飛ぶ沖花春(?)。
…………あいつ、内臓出たんじゃないかな…………。
※
俺は昨日、桃菜と別れた後雪に連絡をとった。
引き受けてしまったのは俺だが、相手は苛めっこだ。悔しいが俺1人で太刀打ちできるとは思えない。
で、雪に助けてもらおうという結論に至ったのだ。
電話口で聞いた雪の声は未だかつて無い程興奮していた。
そりゃあ、幽霊の悩みを解決するなんてオカルト好きにとっては垂涎ものの出来事だ。
本当に楽しみだったらしく、今朝俺が雪の家に行くと雪は玄関で正座して待っていた。
俺がどんだけびっくりしたか分かってんのかあの野郎。
………まあ、その事は今は良い。
とりあえず置いといて………だ。
今は、俺達の目の前で蛇に睨まれた蛙みたいになっているこの少年をどうするか…が問題だ。
……どうしよう……。
ビビらせた上、思いっきりぶつかって余計怖がらせちゃったよ……。
この携帯のバイブ機能レベルで震えている少年の心をどう開こう………。
いや、開けるのか?そもそも。もう無理なんじゃないか?これ。
………………………ネガティブになっちゃ駄目だ。やっと接触できたんだから。
……まずは俺達に敵意は無いという事を伝えなくては。
「あ、あの~~~」
「ひぃぃっっ!」
「お、落ち着け!別に俺達はお前に危害を加えるつもりは無いんだ!」
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