太陽 2015-12-22 01:12:59 |
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≪5話≫
次の日の終礼後。
俺は雪と一緒に隣のクラスを覗き込んでいた。
「んん~?沖花ってどれだ~?」
俺は桃菜から聞いた沖花春の特徴を思い出しながら目を細めた。
「沖花って………どんな…奴……?……」
雪が訊ねてくる。
「確か、身長155cm前後…茶色でやや天パの髪に…童顔で中性的な顔立ち…だそうだ」
教室中を見回してもそれらしい人物はいない。
「今日は休みなのか?」
「………そうなの、かも……」
俺達は踵を返し、自教室に戻ろうとした。
だが、ふと視界の端に小柄な人影が写っている事に気づく。
「……?…あ!」
教室の扉の影に隠れておどおどしているその人物は、桃菜が教えてくれた沖花春の特徴を兼ね揃えていた。
「おい、雪。もしかしてあいつかな?」
雪に問いかけようと隣を見ると、そこには雪の姿は無かった。
「え?……あれ…雪?」
キョロキョロと辺りを見渡すと、いつの間にか雪は沖花春(?)の前に立っていた。
「………おい……お前が、沖花…春…か……?……」
いきなり声をかけられた彼は一瞬びくんと身を震わせると、ゆっくり雪を見上げた。
「ひっ!」
そして小さく悲鳴を上げると、何を思ったか急にその場で土下座した。
「すいません!何か知らないけどごめんなさい!命だけは!どうか命だけはああああああああ!!!」
唖然。
こいつとんっでもねーへタレだ。
しかしこの状況どっかで見た事あるな……。あれは確か数日前………
俺が入学初日のできれば忘れたい想い出に思いを馳せていると、雪の困惑した声が聞こえてきた。
「……え…ええっ?……な、…なんで……なんで、土下座……?」
雪がオロオロしていると、沖花春は突然起き上がりダッシュで逃げ出した。
「「えっ!?」」
流石にこの行動は俺も雪も予想外だった。
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