(庭に向かう途中、聞こえたグラッシュの声に小さく笑ってから中庭に出た。白薔薇。噎せ返るような香りと人間が好む美しい花、中庭に咲き誇るそれはいつだって同じ姿をしていて四季を忘れそうになる。胸ポケットから枝切りハサミを取り出すとその薔薇の脇に座って眺めた。切るのがもったいないとすら思う)