ラノベ書いてます。※ただし初心者

ラノベ書いてます。※ただし初心者

宇治抹  2015-11-01 19:02:42 
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暇を潰せたらと思い、小説を書いております。いずれは小説家になろうの方へ投稿しようかなぁ、なんて考えてます。
ここに投稿する小説は執筆途中だったり、文が滅茶苦茶だったりします。もし良ければ読んでやってください。そして感想や指摘など頂ければ幸いです。

魅力的なキャラに序盤から読書を引き込む展開。そんなものが書けるようになりたいと思うこの頃。

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  • No.9 by 宇治抹  2015-11-04 02:40:43 

【第1話-2】

 朝食を早々に平らげ、支度を済ませた直葉(なおは)は鞄を手に玄関へと向かう。
 適当な場所に腰掛ける梨穂子に一言謝罪してから一緒に家を出た。
「あの……直葉君」
 道すがら、梨穂子が声を上げた。恐る恐るといった様子で声量が小さい。
「どうした?」
「優也(ゆうや)君がブレード部を立ち上げたって話、知ってますか?」
 優也というのは1年前、直葉が事件を起こした際に一緒に行動を共にしていたチームメイトだ。フルネームは二刃(ふたば)優也。
 直葉の親友でもあり、また、唯一チームメイトの中で直葉を責めなかった人物でもある。
 そんな優也がブレード部を立ち上げたと聞いて、直葉は驚きを隠せなかった。
「なんでまた。ブレードがやりたいなら他の学校へ行けば良かったのに」
 直葉が進学した高校にはブレード部がない。というのも、直葉はわざわざブレード部がない高校を選んで進学したからだ。剣を握れなくなった以上、ブレードをやるつもりはなかった。
 平穏に過ごすためには直葉の悪名が知れ渡っていない学校が良い。となればブレード部がない学校が適任だろうと考え、ここ信修(しんしゅう)高校を選んだ。
 男女比2:8という、男にとっては肩身が狭い高校だが、逆に言えばそれだけブレードに詳しい人物が少ないということ。というのも、ブレードは女性の参加は許可されていないからだ。
 つまり、限られた生徒数の中で部員を集める必要がある。
「こんな学校じゃろくに部員だって集まらないだろ。一体何がしたいんだよ、あいつは」
 直葉は馬鹿にするような口調で、優也のことを嘲笑ったつもりだった。だが、梨穂子にはそう見えていなかったかもしれない。
 梨穂子は何かを堪えるような、とても辛そうな表情を浮かべていた。
「本気で──言ってるんですか?」
「…………」
 直葉は表情を曇らせた。もしかしたら、まだ直葉とブレードをやりたいと思ってくれているのでは。そんな予感が脳裏をよぎる。
 優也をブレードに誘ったのは直葉だ。幼い頃からお互い切磋琢磨しつつ、共に努力を重ねてきた。いつか、大きな舞台で勝負しようと約束もした。
 もしも、まだ優也がそれを覚えているとしたら──。
 直葉は首を振った。一体何年前の約束だ、と。覚えているはずがない。
「俺が知るかよ。あいつが何を考えてるかなんて」
 直葉はそれだけを告げると、梨穂子を置いて先に学校へ向かった。何も聞きたくないとでも言うように。
「直葉君……」
 置いていかれた梨穂子は、その場に立ち止まって空を仰ぎ見た。今日は快晴だ。ブレードをやるにはもってこいの天気だろうに。直葉にはもう、ブレードをやるという選択肢は残されていないのだろうか。
 梨穂子は先ほど直葉の母と話した会話の内容を思い出す。
『ナオ君のこと?』
『はい……。何だか前よりも素っ気ないような気がして』
『うーん、そうねぇ……。あの子はたぶん、意地を張ってるだけなのよ』
『意地……ですか?』
『ほら、リホちゃん昔あの子と約束したでしょ?覚えてる?』
『はい』
『その約束を果たせそうにないから、ムキになってるのかも』
『でも、私はもう気にしなくていいと』
『あの子も一応男の子だから。気にしなくてもいい、なんて言葉は逆効果かもしれないわね』
『で、ではどうすれば』
『ごめんなさい。それは私もよく分からないわねぇ』
『う、うぅん……。面倒、ですね。男の子って』
『ふふ……そうね』
 直葉の母は言っていた。意地を張ってるだけだと。
 恐らく直葉はブレードへの興味を完全に失ったわけではない。だが、1年前の出来事から剣が握れなくなってしまった事と、そのせいで約束を果たせそうにない事からブレードを再び始めようという結論には至らないのだろう。
 だったら背中を後押しするような何かがあれば──と、ブレード部が出来たことを伝えてみたが逆効果だったかもしれない。
 やはり根本から変えてみないといけないのかもしれない。再び剣を握れるように直葉の悪名を消し去るとか。
「……どれだけ時間をかけるつもりですか」
 梨穂子は首を振る。一度広まってしまった事柄は簡単には消えてくれない。得策とは言えないだろう。
(約束……か。あの時の約束を果たそうとしてくれているなら、やっぱりブレードを続けた方が良いですよね)
 梨穂子は消えてしまった直葉の背中を追うように足を動かした。今度は別の路線でアプローチをしてみよう。
(ふぅ……。それにしても)
 何故、自分がこんなことをしなければいけないのか──。そう考えることはあっても、梨穂子は止めるつもりはなかった。
(ふふっ。一体、何故でしょうかね)
 責任感だからとかではなく、もっと別の気持ち。それが何なのか、理解するのは先のことになりそうだけれど。

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