ラノベ書いてます。※ただし初心者

ラノベ書いてます。※ただし初心者

宇治抹  2015-11-01 19:02:42 
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暇を潰せたらと思い、小説を書いております。いずれは小説家になろうの方へ投稿しようかなぁ、なんて考えてます。
ここに投稿する小説は執筆途中だったり、文が滅茶苦茶だったりします。もし良ければ読んでやってください。そして感想や指摘など頂ければ幸いです。

魅力的なキャラに序盤から読書を引き込む展開。そんなものが書けるようになりたいと思うこの頃。

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  • No.12 by 宇治抹  2015-11-17 01:40:14 

【第2話-1】

 1日の授業が終わり生徒が続々と下校していく中、優也と梨穂子は自分たちの教室でしんみりと膝を付き合わせていた。
「まさか優也君がそんなつもりでこの高校を選んでいたなんて。私はてっきり……」
「それも嘘じゃないよ。やっぱりナオちゃんとはこの先も一緒に戦いたいと思うし」
「そうですか……。私の方でも続けてもらえないかと色々アプローチしてみたんですけど、徒労に終わりました」
「昔っから意地っ張りだからね、ナオちゃん。一度決めたことを簡単に覆すつもりはないのかも」
「そうですか……」
 やはりもっと別の角度から攻める必要があるのかもしれない。
 梨穂子が次の作戦を練っていると、優也が神妙な面持ちで梨穂子の名を呼ぶ。
「ん?どうしました」
「こう言っちゃなんだけど、難しいと思う……」
「難しい……?」
「ナオちゃんにブレードを続けてもらうこと」
 優也が珍しく弱気な発言を口にする。あんなに直葉と一緒にブレードをやりたいと言っていたのに。
「どうして、ですか」
「ナオちゃんがブレードをやらなくなったのは、過去に起こした事故の罪滅ぼしなんだって」
「罪滅ぼし、か。やはり責任を感じていたんですね……」
 梨穂子の顔が俯く。
「その罪が消えるまではブレードをやるつもりはないと?」
「うん。それに……」
「それに?」
「例えナオちゃんが再びブレードを始めたとしても、それを快く思わない人間もいる」
 優也の言葉には嫌になるぐらい、説得力がある。
 あんな事故を引き起こしたぐらいだ。また同じような事態を招く可能性だってある。確かに優也の言葉通り、それを危惧する人間がいても不思議ではない。
「では……もう、不可能ということですか?」
「それは分からない、けど」
 2人の表情に影がさす。先ほどまで新たな作戦を練っていた梨穂子だが、今の優也の言葉を聞いてから打開策が一向に思い浮かばない。
「……って、もうこんな時間か。ごめん、梨穂子ちゃん。僕はそろそろ行くよ」
 不意に優也が声を上げた。
「今日もですか?」
「うん。部員集めも重要だけど、まずは自分が強くならないと」
 優也は放課後、ほぼ毎日ブレードの練習を行っている。だがこの高校にはブレードの練習施設がないため、一般に開放されている有料の専用施設を借りて練習をする必要があった。
 そこまでは少し歩く必要があるから、そろそろ学校を出ないと暗くなってしまう。
「でしたら私も付き合いますよ」
「え、でもいいの?」
「はい。今の話を聞いて、全くもって策が思い浮かばなくなってしまったので……。それに私、仮にもブレード部のマネージャーですから」
 梨穂子はマネージャーとしてブレード部に所属していた。いつか直葉が戻ってくると信じて、彼のサポートを務めたいと考えてのことだった。
「そっか。じゃあ一緒に行こう」
「はい」
 二人は支度を済ませて学校を後にする。その道中、梨穂子は女子生徒達からの嫉妬の目を向けられて胃が痛かった。
「モテるんですね、優也君」
「あ、あはは。そんなことないよ」
「そんなことありますよ。私、睨まれたんですからね」
「ご……ごめん」
 申し訳なさそうに謝る優也に、ぷっと吹き出す。昔から誰に対しても優しい優也だが、それ故か気の弱い一面もあった。誰かに対して怒ったことがあっただろうか。
「着いたね。使用許可貰ってくるから、待ってて」
 考え事をしているうちに施設にたどり着いた梨穂子は、受付に向かった優也を待つため手近にあったソファーに腰を下ろした。
 物珍しさに辺りをぐるぐると見回すと、1つの集団が目に付いた。
 あそこにいる人達って、ブレードの強豪校の──確か、慶閃(けいせん)高校だっけ。
 慶閃高校。ブレードに携わる人間なら誰もが知る名で、去年の大会でもベスト3まで勝ち進め更に知名度を上げた。
 そんな有名校がこんな公共の施設に一体何の用事で来たのだろう。
 その時、梨穂子の視線に気づいたのか、1人の慶閃の生徒が歩み寄ってきた。
「失礼、聞きたいことがあるのだが」
「あ、は……はい。何でしょうか」
「君は信修高校の生徒で間違いないか?」
「そう、ですけど」
 梨穂子は頭上にハテナのマークを浮かべた。
 信修高校の生徒を探している──?
「一宮直葉という名前に聞き覚えはないか」
「えっ、なんでその名前を!?」
「知っているのか!?」
「し、知っているも何も、私の友人ですけど」
「そうか、それは都合がいい」
 都合がいい?一体何の話をしているのだろうか。
「一宮がブレードを止めたという話は本当か?」
「あ、えっと……」
 見知らぬ相手に本当のことを話していいのか躊躇われたが、目の前の相手からは誠実さが感じられた。それに何より、直葉を探してわざわざこんな所まで来たのだ。何か訳があるのかもしれない。
「止めた、というより……出来ないという感じで」
「なるほど。やはり過去の事故を引きずっているのか」
 目の前の人物は過去の事故のことも把握しているようだ。あれだけ騒ぎになったのだから、ブレードをやっていて知らない人間の方が少ないだろうが。
「残念だ。あの一宮誠士郎の弟と聞いて、密かに戦えることを楽しみにしていたのだがな」
 一宮誠士郎とは直葉の実の兄で、高校ブレード界において最強と称された今話題の人物だ。
 その誠士郎と戦いたいと思う人間は沢山いるが、直葉と戦いたいと思う人物までいるとは意外だった。中学では名が知れた選手だが、高校生らに比べれば直葉すらもヒヨッコ同然だろう。
「あの、そのためにわざわざここへ?」
「ああ。だが、無駄足だったようだ」
 目の前の彼は表情を曇らせた。その様子から、本当に直葉と戦うことを楽しみにしていたのだろうということが伺えた。
 そんな時、いつの間にか集まっていた慶閃高校の生徒の一人が話に割って入る。
「だから言ったじゃないっスか。最初から行くだけ無駄だって。敵選手を傷つけただけで取り乱すような奴だったんスよ?例えブレードやっていたとしても、大したこと(・・・・・)ないですよ」
 その男は身なりや口調からして、恐らく慶閃の一年生だろうか。口振りからして直葉の事故を目撃していたようだが。
 それよりも癇に障ったのは、直葉を小馬鹿にしたような発言だ。それには梨穂子も黙っていられなかった。
「何も知らないくせに、勝手なことばかり言わないでください」
「あン?──おおっ、よく見れば可愛いじゃん君!どう、良かったら俺らとお茶でもしない?」
「は?何言って──」
「よし決定ー。早速行こうぜ、ほらほら」
「ち、ちょっと離してください!」
 強引に手を掴まれた梨穂子はそれを振り解こうとするが、男の力には勝てない。
「────待った」
 突如、横から伸びてきた腕が男の手を掴み上げる。
「いってぇ!なんだテメェは!」
「それはこっちのセリフだよ。梨穂子ちゃんに、何をしてるんだ?」
 その正体は優也だった。しかし、様子が変だ。普段は聞いたこともない声音で話す優也にゾクッと背筋が震えた。
「ああ?デートに誘っただけだろうが。何か文句でもあンのかよ」
「慶閃高校の生徒がそんな低俗な連中だと、その実力もたかが知れているね」
「……ンだと」
「さっさと消えてくれない?目障りだから」
 声音どころか口調すらも変わる。こんな優也は見たことがない。
「テメェ、誰に喧嘩売ってんのか分かってんのか?」
「理解しているよ。慶閃という泊が付いただけの、小物だろ?」
「もう我慢ならねぇ……!そこまで言うのなら勝負しろ!」
 人を馬鹿にしたことなどなさそうな優也が、煽りに煽って慶閃の生徒らは怒り心頭といった様子だ。
「ああ、構わないよ。どうせなら全員まとめて相手しても構わないけど?」
「ふざけやがって……!」
 慶閃の生徒らは奥のスペースへ向かう。あの広い場所が恐らく試合場だろう。
 優也は彼らの後を追うように歩き出すが、梨穂子はその背中へ声をかけた。
「ゆ、優也君」
「……ごめん、頭に血が上ってさ。梨穂子ちゃんを怖がらせたこと、それとナオちゃんを馬鹿にしたことが許せなくて」
「それは……私もですけど。ですが、大丈夫なんですか?複数人まとめて相手するなんて」
「ああ──平気だよ」
 優也はそれだけを口にすると、奥のスペースへと姿を消した。

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