ハナミズキ 2015-10-30 16:57:47 |
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モリトは何も言わずに、ただ黙ってユーリの話しを聞いていた。
「病気の特効薬なんか無かったから諦めてたんだけどね、病気の進行を遅くする新薬が開発されてそれを使ったの。ある意味人体実験のモデルよね…。それが功を奏して10年。まだ生きてる。でもね、ただ生きてるだけ。あと5分で私は自由になれるのかな…?真っ白い壁や天井はもう見飽きちゃった…。
あっ、いま、じゃあ何でここに来れてるんだ?って思ってるでしょ。そのからくりも実験台かな?最近発表された3Dゲーム機械のヘッドギアがあるでしょ。それの試作品を使わせてもらって実験されてたの。私みたいな病気の人は、病気の進行が進むと会話も出来なくなるでしょ?でも、意思疎通はしたいって思ってるから何か方法はないかっ…て。で、脳が正常ならこれはどうだ!って事で使ってみたら、意外とうまくプロミングされててね、考えてる事や思ってる事を他人に伝える事ができる事が分かったの。思ってる事が会話になって画面に表示されて、本当にびっくりしたわよ…。
・・・・・・それにね、現実世界を離れてゲームの中に入ってるとね、痛みや苦痛から解放されるの。鎮痛剤を打たなくてもいいのよ!?凄いでしょ? ・・・・だから私は1日の大半をこの世界で過ごしてたわ…。四天王を極められたのもそれのおかげかしら・・・・・。」
ユーリはクスリと微笑みゆっくりと目を瞑った。いきなり衝撃的な話を聞かされたモリトは何も言う事ができないでいる。ただ驚いた顔をしてユーリを見ているだけだった。
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