ハナミズキ 2015-10-30 16:57:47 |
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ユーリは自分の手をニギニギと、閉じたり開いたりしながら、足で大地の感覚を感じ取るかのように一歩、また一歩と歩きだした。
「・・・・私…、自分の足で立ってる…。ちゃんと歩ける。
見て!モリト!!
私ちゃんと立って歩いてるわよね?!」
そう大声で叫ぶように言うと、大粒の涙が頬を濡らした。
筋力が衰え寝たきりになって8年。久し振りの地面の感覚と手の感覚。嬉しさのあまり涙が止まらない。
そんなユーリを見たモリトは、どうしていいのか分からず、側に近寄りそっと抱きしめながら頭を撫でた。
「うん…。ちゃんと立ててるよ。ちゃんと歩いてる」
ユーリの頭をポンポンと軽く叩くようにしながら、「涙は拭いても良いけど、鼻水はかんべんなw」そう軽口をたたいたのだった。
こう言う場面に慣れていなかったモリトは、この場合喜びの言葉を掛けるべきなのか、それとも慰めの言葉なのか、どう接したらいいのか分からず、とりあえずユーリの気持ちをリラックスさせようと言う思いからの言葉だったのだ。
「鼻水も一緒に拭いてやるううぅぅ」
そう言いながら顔を上げたユーリは、満面の笑顔で答えたのであった。
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