ハナミズキ 2015-10-30 16:57:47 |
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甲板から、だんだん遠ざかるグリーンランドを見ている俺とユーリ。船に乗って移動するなんていつ以来だろうか。たまにはこんな旅も悪くない。そう思いながら潮風に当たっていた。
ふと、隣にいるユーリを見て見ると、長い髪が後ろから吹く風になびき、前方へと覆い被さって来ていた。それに気が付いた俺は、ポケットに手を入れて昨日雑貨屋で買った可愛い紐を取りだした。
「髪が邪魔そうだね。ちょっとそのままでいてくれるかな」
俺はユーリの背後に回り、髪を束ねてポニーテールに結んだ。思った通り、ピンク色の紐はリボンの形をとると、より一層ユーリに似合う。まるで・・・・、小学生のようだ・・・・。
「これまた可愛くなっちゃって・・・・。」
俺は思わず苦笑いをしてしまった。そして同時に、赤い石がハートの中にぶら下がっているイヤリングも付けてあげた。
「うん。可愛い。完璧だよ、ユーリ」
こう言う歯の浮くようなセリフを平然と言ってのけた自分にもビックリだったが、「可愛い」と言う言葉を聞き慣れていないのかユーリは、「えっ?」と、驚き、俺の方へ振り返った。
その顔は、恥ずかしさなのか照れなのか、顔を真っ赤にしているように見えた。その顔を見た俺も、「えっ?」と、間抜けな返事を返すのだった。
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