YUKI 2015-09-05 09:08:35 |
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「どんな名前と言いましても、飼い主は水連先生なんだからご自分でお決めください」と葉月は自分に聞かれても困ると言わんばかりに言い、水凪の膝の上で《ゴロゴロ》と喉を鳴らす薄い茶虎柄の子猫を見つめた。
喉を鳴らしていた子猫は水凪の優しい手に撫でられ、眠ってしまったらしい。
「そうですよね、でも生き物の名前なんて付けたことがありませんし」と困ったように笑い、子猫を猫ベッドに起こさないように運び、葉月の顔を見つめた。
「俺だって生き物の名前を名付けた事なんてありませんよ」と言いながら、目線をそらしつつも観念したように「わかりました。俺も一緒に考えますから早いところ決めてやりましょう。この子猫だって、いつまでも子猫と呼ばれていてはそれを名だと覚えてしまいますよ」と葉月は言う。
「本当ですか?ありがとうございます。やっぱり菖蒲君は優しいですねぇ」と嬉しそうに笑い台所に向かい、冷たい緑茶と水凪の手作りの蜜豆を二人分のグラスと器に盛り、部屋のテーブルに運んだ。
「別に優しくなんてないですよ。いただきます」と水凪が運んできた蜜豆を一口食べると「・・美味しい・」とその美味しさに思わず声を出してしまう。
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