燭台切光忠 2015-07-25 21:54:48 |
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くだらん。
(本来は賑わうはずの中庭や本丸の炊事場と思わしき場所は今は不気味なほどになりを潜めている、その事実に未だに置かれた状況を理解できずに苦しみながら相手の悪びれた様子も無い姿勢には少しばかり溜息を吐き出してから一つの言葉に纏めて一蹴。腕を組みながら姿勢を正座に正し、背筋を迷いなく伸ばして執務と向かい合うときのような体勢になると眉根の皺は理解不能な事ばかりで深く刻まれるばかり。この置かれた状況にも拘らず何処か楽しげに、晴れやかな表情で語り出す相手の姿は異質とも言え、違和感が矢張り付き纏って離れない現実に心の中が黒い靄で付き纏うのを何処かで感じ。引っ越し、といった単語に倣って首を少々動かしてみる。一つ一つ隈なく部屋の構造を確りとこの目に見たが此処は相変わらずに自室とそっくりで、そうでない事を思い知らされると同意には応じずにただ目の前にある邪気のない表情を訝しげに見つめるだけ。徐に立ち上がり、障子の方へと歩み寄って僅かに廊下へ顔を出すと何も聞こえない空気だけが流れる世界と、まるで時が止まったような静寂さは不気味なもので。「…俺と貴様以外にこの本丸には存在しない、と?」投げられた歪んでいて極まりの無い言葉に耳を澄ませるが信じられないとでもいったようにその部屋から足を一歩縁側に踏み出し、相手の前から姿を晦まそうと動き。)
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