燭台切光忠 2015-07-25 21:54:48 |
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え?うん、そうだよ。ちょっとしたサプライズってやつだね
(自分達以外誰も存在しないこの空間。心地良い静けさに包まれた中ではこれまでよりも格段に相手の声だけを鮮明に拾う事が出来、幸福感から鼓動が少しばかり早くなる。高すぎず低すぎず、凛としたよく通るその声に嗚呼、やはり君は声も綺麗だと心の中で賛辞を送る。この場所に相手を連れ出したのは正解だったと内心満足気に口角を上げつつ、不意に彼から問を投げかけられると笑顔から一転、驚きと困惑が半分ずつ表れたような表情になり。きょとん、とひとつ瞬きをした後そのまま相手の問に答えるべく一度頷けば全くと言っていい程悪気のない様子で上記述べ。実際本人に悪気など無いのだから当然と言えばそうだが、他人の気持ちに敏感な筈の人間が相手の気持ちを読み取ろうともせずに楽しげに話すその姿はまさに異質な光景と言えるだろう。さっきは言いそびれたけれど、お引越しをしたんだ。あの本丸とそっくりでしょう、などと部屋を見回してから相手に視線を戻せば同意を求めるように首を傾け、この場の雰囲気にそぐわない邪気の無い笑顔を作って。どういう事、とは。何故彼はそんな事を聞くのだろう。てっきり喜んでくれるとばかり思っていたために相手に質問された事に対して純粋に疑問を抱けば頭上に疑問符を並べて。相手を連れ出せた事の喜びとこれからの生活に対する高揚感とでお花畑と化した頭でよく考えてみるものの、やはりと言うべきか答えは出なかったようで、未だ困惑しているように相手を見つめ返す。「どういうって…此処に存在しないものについて考える必要は無いでしょ?」と当たり前の事を聞くように相手に質問を返せば相手からの返事を待って。)
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