三日月宗近 2015-07-25 21:54:34 |
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_あぁ。しかし、深く眠りすぎたようでな、記憶がひどく曖昧だ。
(夢だと思っていた空間に不意に現れた来客が一人。突然聞こえた自分以外の声に始めこそ驚いたがそんな様子を滲ませない落ち着いた動作で聞き慣れた声が聞こえた方向へ顔を向ける。案の定、そこに居たのは夜闇に映える純白の衣装を纏った彼。自分が恋い慕う相手が出てくるのなら悪い夢ではないが、相手の姿をしかと視界に捉えた瞬間そんな暢気な考えは消え去った。相手の問に上記のように返しつつそっと相手を観察し、確信する。これは、夢などではない。人の形を得てから、自分は周りの刀剣達よりも勘が異様に冴えているなと思う事が多々あった。そして今も例にもれず有能な己の勘はこの目の前に居る相手が、この空間が、何か違うと教えてくれている。仮にも想い人である相手の姿をした者に疑念を抱いているという状況に思わず眉を寄せそうになるが何とか真面目な表情で留まるとじっと相手を見据えて。まずは相手が自分の知る彼なのか、そしてこの場所が本当に本丸なのか知っておく必要がある。「…鶴や、どうか笑わずに答えてくれ。お前は俺の知る鶴丸国永で、此処は俺達の本丸。違いないか?」こんな当たり前の質問をするだけでどくどくと心臓は早鐘を打つ。上手く回らない口をもどかしく思いながらもなんとか質問を終えると視線で相手に返事を伺って。もう夜だと相手は言った。この静けさは皆眠っているせいなのだと、自分は知らぬ間に勝手に眠っていたにすぎないのだと信じたい。いつも傍らにある本体が無く心もとないがそれは相手も同じ事。戦闘行為に発展する事は無いとは思うが何が起こるかわからない状況なだけに軽く身構えておけば知らぬ間につめていた息を短く吐き出して。)
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