雪風 2015-06-07 23:36:40 |
通報 |
変わらず雨が降っている。
でも僕が早足で家に向かっていることとは関係ない。
早く帰ろうとするなんて、あの家に住むようになってから初めてのことだ。
急ぎながらも覚悟を決める。
盲目の仔猫のこれからの一生涯の責任を持つ。
それは想像しかできないが大変なのは間違いないだろう。
想像しかできないのだから判断は今の気持ちに任せるしかないと思う。
ならば答えは出ている。僕の歩く速度が答えをだしてくれている。
家に連れ帰ったことを後悔する日が来るのかもしれない。
でも、ここで困難であろう未来に怖じ気ずいたら、やっぱり後悔するだろう。
例え後悔しても仔猫に酷いことをしたり見捨てたりはしない。
これが僕の覚悟だ。
当然の覚悟だ。
後悔しても決断したのは僕なのだから、何の罪もない仔猫を哀しませては絶対にいけない。
「だいたい後悔するなんてことないはず……。」
無意識にそう呟いていた。
僕は走り出す。
トピック検索 |