短編です

短編です

雪風  2015-06-07 23:36:40 
通報
短編書きます。

コメントを投稿する

  • No.34 by 雪風  2015-11-08 20:52:01 

家に帰ると、いつも通りお風呂に入り、離れで食事を摂った。
その後、本来は勉強を始めるが今日は違った。

僕は探し物をしていた。

女性の家からの帰り際、女性は家の中から小さなオリーブの枝で編まれた籠を持ってきて、仔猫をそこに寝かせるように頼んできた。

仔猫がほとんど動けなくなってからは、その籠の中で仔猫は過ごしているという。

「この子の寝床よ。」

女性はそう言っていた。

何枚かフワフワしたタオルが敷かれてあり、居心地は良さそうだった。
が、一番上に置かれていたタオルの色が仔猫の身体と同じ白い色で、何だか味気なさを感じた。

タンスの中をあさると、淡い水色のタオルがあった。
探し物が見つかった。

ビニールに入ったままのまだ使ってないタオル。

これを買ったのは、まだ小学生の時だった。
お母さんの離婚前。

僕の本当のお父さんとお母さんと三人で行った最後の家族旅行で買ってもらった。

海の近くの土産物屋で僕がねだった。

「こんなものが欲しいのか?タオルだぞ。」

お父さんが笑う。

「しかも無地じゃない。」

お母さんも笑っていた。

それが嬉しかったのを鮮明に覚えている。

もうお父さんが離れていくのは分かっていた。何も聞いていなかったけど察していた。

三人で行く最後の旅行。
僕は子供心に、何かをねだらないといけない気がしていた。

何故そう思ったのか今の僕には解らない。

もしかすると何か欲しいと言えば二人が喜ぶのではないかと考えたのかもしれない。

でも土産物屋に僕の欲しいと思う物はなかった。一生懸命探したけどなかった。

きっとあの時の僕に欲しいものなど無かったのだと思う。

ただお父さんとお母さんが仲良くしている姿を……いや、仲良くなくても険悪ではない光景が欲しかった。

だから二人が笑ってくれて嬉しかったのだろう。

欲しくもないが買ってもらい、使うこともなく今日までタンスの中に眠っていたタオル。

今はあの時にねだって良かったと思う。

だって、あの仔猫にとても似合う色だ。

鞄の中にタオルを入れ込む。

明日は図書館に寄らずに、女性の家に行こう。そして、このタオルをあのオリーブの枝の籠に敷こう。

そう思った。

[PR]リアルタイムでチャットするなら老舗で安心チャットのチャベリ!
ニックネーム: 又は匿名を選択:

トリップ:

※任意 半角英数8-16文字 下げ
利用規約 掲示板マナー
※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※必ず利用規約を熟読し、同意した上でご投稿ください
※顔文字など、全角の漢字・ひらがな・カタカナ含まない文章は投稿できません。
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください

[お勧め]初心者さん向けトピック  [ヒント]友達の作り方  [募集]セイチャットを広めよう

他のトピックを探す:その他のテーマ







トピック検索


【 トピックの作成はこちらから 】

カテゴリ


トピック名


ニックネーム

(ニックネームはリストから選択もできます: )

トピック本文

トリップ:

※任意 半角英数8-16文字

※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください
利用規約   掲示板マナー





管理人室


キーワードでトピックを探す
初心者 / 小学生 / 中学生 / 高校生 / 部活 / 音楽 / 恋愛 / 小説 / しりとり / 旧セイチャット・旧セイクラブ

「これらのキーワードで検索した結果に、自分が新しく作ったトピックを表示したい」というご要望がありましたら、管理人まで、自分のトピック名と表示させたいキーワード名をご連絡ください。

最近見たトピック