! 2015-05-30 17:45:06 |
通報 |
(針と糸を外すのに集中していたので相手にとってその煩わしい物が外れて傷も殆ど残っていないことに気付くと心から安心し、衝動的にだが思いきって人魚を助けて良かったと安堵していた時、相手の声がして顔を上げると其処でやっときちんと相手の顔を見ることとなり。実際に見た人魚と自分が想像していた人魚像は全く違っていて良い意味で期待を裏切られその違いに思わず声を発して久々に笑い。突如笑ってしまったので先ずは相手に笑ってしまったことについて理由を説明してから軽く頭を下げて謝罪し。そして今度は相手の顔を観察する訳ではないがきっともう、会うことはないと考えそれならこの偶然の出逢いを神に感謝しつつ相手に不振がられぬ様にそっと顔を見詰めると真っ先に左右違う瞳の色へ視線がいき釘付けとなり。左右違う瞳は見たこともないと言うのがひとつの理由でもあるが、右目は琥珀を溶かしたような明るく橙色。左目はまるで深海を写し込んだ様な藍色。どちらも澄み切っていてまるで宝石の様だったので釘付けになり。その美しい瞳が細められると次に頬を綻ばせて微笑む姿は自分より幼く見え。だが上半身へ視線を滑らせると自分より遥かに引き締まった無駄のない躯が視線を捉えると直ぐに幼いという発言を撤回し。しっかりと脳裏に焼き付けようとしていたので相手が動いた事に気付くのが遅くなり、慌てて口を開くも時既に遅しで海水へと消えてしまい。こういう結末になると頭のどこかで理解していたが、心の何処か片隅でまだ喋ることが出来るのでは、と淡い期待を抱いていたのでそんな自分が少し恨めしく想いやはり人魚は御伽噺の中だけの人物である、と無理矢理自分に言い聞かせては戻っていった海水見下ろし「ありがとう、人魚さん」と呟くように御礼を告げると相手が見ている訳では無いのだが出逢えたことに感謝して微笑みかけてからその場から立ち上がりバッグを持って海辺へと戻っていき。翌日、偶然だが人魚と出逢えてその日の晩は興奮してしまい眠りにつくのが遅くなり、目覚めるととっくに陽は明るく室内を照らしていて。慌ててベッドから上体起こせば柱の掛け時計で時間を確認し。時計の針はとっくに正午を過ぎていて、養生の為に毎日を過ごしているのだが寝過ぎるのは禁物だと自分に言い聞かせ。本日も再び海辺へ行こうと計画を練れば昨日と同様にしっかりと身嗜みをととのえてドレッサーの鏡で姿を確認し、納得しては今度こそは絵を描こうと強く決心し、鞄へスケッチブックとペンケースを入れてから部屋を出て。キッチンで食事をしようとしたが直ぐに海辺へ行きたくて仕方無く、今日は食事未摂取のまま家を出て鍵をきちんと閉めて確認後、小走りで必死に海辺へと向かって。持病の事を考えずに走ってしまい、海辺へ到着する頃には息切れで肩で呼吸しており、だがそれは自分の不注意なので何とも言えなく。発作、までとは行かぬも久々に走ったので立っているのが辛くなり足が次第に小刻みに震え両足で立っているのが耐えられなくなるとドサッと砂浜へ倒れ込んでしまい。意識はあるのでそのまま仰向けになりぼんやりと空を仰ぎ見、高い位置に登っている陽へゆっくりと右手を伸ばして掌を透かして眺めたり手の甲の浮き出た血管や心拍でまだ生きている、と何処か他人事のように考えてから昨日、偶然だが出逢って助けた人魚の事を脳内でぐるぐると張り巡らせ)
…御伽噺の人魚姫のように、彼も美しかったなぁ。僕より逞しい身体で少し驚いてしまったけど。
(大丈夫であって安心しました!人魚のユーラさんが海水の中へと消えてしまったので翌日へ描写変更してしまいましたが、それについては大丈夫でしたか?無理でしたら改めて投稿いたしますので!
それでは此方も御用がなければ本体は下がらせていただきますね!)
トピック検索 |