匿名ゆき 2015-05-17 09:59:59 |
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傘と電車の相違交差点
そこには三色に輝く事故誘発装置の代わりに傘が開いていて、傘下を過ぎ去るのは痺れを切らした靴音ではなく、淘汰された鉄道の、空気を弾く音である。
それらは電線の鎖に縛られているので、脱け出そうにも脱け出せない。
おかげで自動車事故はなくなったものの、身を投げ出してしまう者は日々増している。
傘が雨を防いでしまうので、電車の中の住民は雨を知らなかった。
それでも、雨に触れようとして重力に身を委ねると、赤色の雨は八方に拡がっていった。
住民は忙しいようで、気にかけないどころか彼の興味とは別のところに苛立ちまで表明している。
**明日のことは考えていない、とでも言うような軽快な歩調で新たな電車へ乗り換えるのでした。
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