◎画面越しに

…名前ですか？
"あかやね"と読みます。
蒐集の蒐の字をとって、あかねや。

ああ、"拝み屋"とは別物です。
よく間違われるので初めに断っておきますよ。


名前を伏せてはいるがこれでも版権物のつもりでね、既知不知問わず歓迎しますよ。
特に興味深い怪異諸君にはね。

さあ、怪異関連の依頼、雑談、何なりと。
基本は私ですが、いち…失礼、邏卒君なんかもいずれ出てくるでしょう。

それじゃ、また機会があれば。

暇ですねえ。

近頃は私の元を訪れる者もありませんし…
奇妙奇天烈な事件が次々と起こってくれれば退屈なんてせずに済むんでしょうがねぇ。

ああ、失礼。些か不謹慎でしたかな。

…丁度良く邏卒君も居ないことだし、気分転換に散歩でも行きましょうか。ふふ。

…べい、えい…米英本？
書庫が豊かになるのは大いに結構だが、これは怪談じゃなさそうですねえ。
とはいえ、何かと出入りの多い邏卒君の趣味とは思えないが…
まあよくあることです。この本もそのうち消えるでしょう(ﾌ

つくづく思うが、把握も出来てない中、なんだってお前と俺を出すんだ…
…それとなあ！そのいかがわしい本は何だ！は、早くしまえ…みっともない！
婦人がそんなに肌を出したものがこの明治に受け入れられるとでも思ったら大間違いだからな…(ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

…おや、お久し振りですね邏卒君。

…ひとつ言っておくと、この人物は婦人ではないようですよ。
体躯こそ華奢だが、男性じゃなかろうか。
そんなに気になるなら見てみるといい(ｽｯ

ん？ああ、そっちから言ってくるとは。
いいだろう、こうなれば徹底的に調べて、これを足にお前を逮…

！？
何だこれは…何故男二人が……
うわああああ△※=×♨◎＊！？！？

邏卒君は本当に愉快ですねえ。
そういう世界もあるらしいですよ、と教えたときの表情といったら（ﾌﾌ

さて、随分と留守にしてしまったことですし、納めた物語達の整理でもしましょうかな。

いけませんねえ、自分で建てた場所だというのに手入れもろくにできていない現状だ。
雑草がこれでもかというくらいに茂ってしまって。
…植物たちの生命力には目を見張るものがありますね。

……ああ、私が何をしているのか気になりますか。

本を、探しているんです。
これがかなりの年代物で中々出てきそうもないが。
類似した題の者が複数あって中々に手間取っています。ああ、人の姿は骨が折れる。

そろそろ空間を空けるのに飽きてきました。
しかして習慣化されたものを変えるのは中々勇気のいることです。

私は口調だけそのものを模ってはいるが、モノは別物に思えてならないんです。
この身が本当にここにあるようにはとても思えない。
少ししか出てきていない邏卒君も、彼は本当に熱血漢なんでしょうか。本当にあれは邏卒君なのだろうか。彼も私と同じく、姿かたちだけを寄せてつくった人形ではないのか。……そのように思えてならないんです。

何の話をしているんだか分からない？ それならそれでいいです。
ああ、素直に誰か形のあるモノに相手をしてほしいと乞えばよかった。
そうしたら私もきちんと本当の蒐屋に、彼も真の邏卒になれたかもしれないのに。
駄々っ子だ。私がこの屋敷に生やした雑草を見れば理由は明らかなのに。

私はね、そのモノの持つ口調には強い力があると信じているんですよ。
いっそ口調がかたちをつくり、中身にすらなるんじゃないだろうかと。
違ったんでしょうね。ほら、そうなれば私は私以外の何物でもないことになるでしょう。
だからそれは嘘なんです。だって口調がいくら同じであっても、中身が完全に違っているから、これは私の言葉ではないんです。

>あいうえお
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>>あいうえお
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