. 2014-12-20 11:06:23 |
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あー、そんな顔、しないで(憂うような表情の彼の自分に対する印象は強ち間違っていない、と思う。反対に楽しそうと言われる事も多々あるけれど、この短時間でそう限りなく正しく評価されるとは。苦笑を洩らしつつ死相でも出てんのかな、と己の頬を擦るように撫でてみる。自分のことを話すのも知られるのも別に嫌ではないし他人にどう思われようがどうでもいいけど、どうしてこんな話になったんだっけ、喋りすぎかな、楽しい話じゃないよなあ、という懸念が湧いて、敢えて肯定も否定もせずに頬を撫でたついで、若干癖になりつつある仕草だが、左耳の軟骨に嵌った小さな銀色の輪を細い指先で弄りながら)えー、じゃ俺とかは衰えんのもっとはえーのか…(切実に語る彼を見ているとどうやら想像とは違うらしい現実が己にも迫ってきているのだと感じて、しかし自分の体力に大した関心が無くて落ち込むことも出来ずに、否定する返事を期待するのではなく新事実を知った時の感心したトーンで半ば独り言みたいに呟いて。僅かばかり丸みを帯びて小さくなった氷を残したグラスを置いて一杯で酔うタイプに到底見えない彼が案の定余裕のある顔で表情を和らげる。「うん」とだけ頷いて、ホールドしていた両手をぎこちなく下げへの字に尖らせていた唇をンと結び、黙ったままの彼の深い色の両目に真っ直ぐ見詰められると何故だか何となく何かを咎められるような捕らえられたような気分で落ち着かなくて、逸らしそうになる視線を誤魔化すようにゆっくり一度だけ瞬きして。彼との間に薄く広がる煙に自分の煙草の存在を忘れていたことを思い出すが無駄に燻らせたままにして、彼はこの後二杯目を頼むのかそれとも帰るのか、どっちだろうとぼんやり考え)
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