我輩は主 2014-12-02 21:26:35 |
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僕は、またあの子とつながりたい。
でも、どうすればいいかわからないんだ。遥の時とは違うから。
あの時、僕はあの場所で、あの子といつも一緒だった。
二人で他愛もない話をするだけ。サッカーをするわけでも、何かをして遊ぶわけでもなく、本当に話だけしかしなかった。それだけのことでも、僕は本当に楽しかったんだ。
だけど、それは突然終わった。
ある日、いつもの場所に行くとあの子がいなかった。
「体調が悪いのかな」「何かあったのかな」そう思って待っていたけれど、次の日も、その次の日も、季節が変わってもあの子は来なかった。
そういう時に独り言を呟く人もいるけれど、僕は話がしたかったから、ただ足を運んでは誰も来ていないのを見て帰るだけだった。
そうしているうちに、だんだんあの場所は人目につかなくなっていった。
他の多くの場所と同じように忘れ去られて、その場所を知らない新しく生まれた僕たちに埋められていく。それは仕方のないことで、特別酷いことじゃない。
そう思っていたのに、あの子はまたあの場所に来たんだ。
何食わぬ顔で、僕のことをまったく気にも留めない様子で。三日ぶりに顔を出したとでもいうように姿を現した。
それを見たとき、本当に嬉しいと思ったよ。またあの子と話せるんだ!って。
だけどすぐに考え直した、だってあの子は僕と話している途中にいなくなったんだ。
それは僕と話したくなかったからじゃないか?僕が行っても、あの子は喜ばないんじゃないか?また、いなくなるんじゃないか?
そう考えたら話しかけることができなかった。あの子が一人でそこにいるのを、ただ黙って眺めた。
僕は、あの子とつながりたい。
今、あの子は僕がいないあの場所で、僕じゃない人と話している。
僕もそこに入りたい。
でも、そこに僕が入っていったら、またあの子がいなくなるかもしれない。
そしたら今度こそ僕は…。
僕は、今日も僕のためにあの場所を眺めている。
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