ブラック 2014-10-18 07:11:51 |
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海賊Fの肖像(ルパン三世2nd ひとしずくP×やま△ 海賊Fの肖像)
何とも静かな夜、そんな時間帯にゆっくりと窓が開き一人の少年が外に飛び出す。
おう、来たか。子供にしては渋い声が響き、少年――三世はニタァと笑みを浮かべる。まるでいつものことだと言うように。
「今日は何しようか? 次元」
「別に何でも構わねぇ」
次元。そう呼ばれた子供は腰にマグナムを差して基本的についていくように口にする。
「そうだなぁ、久しぶりにアレしようぜ!」
三世が提案した事はいつもと同じ「悪ふざけ」であり、盗みである。
だからなんだということなのだが、金を盗むという事は久しぶりだ。
「このガキ!」
「餓鬼に餓鬼って言う方が餓鬼じゃない? おじさん」
――パァン。
威嚇射撃。そんな射撃ですら怖くなったのだろう。金を盗まれた主人は後ずさり逃げていく。
そんな様を何度も見て、そろそろ飽きてきた頃だろう。けれど盗みというのは楽しいものだ。
**
「ルパン、何してるの?」
子供にして容姿が完璧な女、峰不二子。いつものように三世の体にベタベタと触り、アレが欲しいコレが欲しいと強請り、強欲さを見せ付ける。
次元がとてつもなく嫌っている女でもある。
「あら、やだ。十三代目のお出ましよ」
斬鉄剣を持った日本人の子供、石川五右衛門の子孫十三代目石川五右ェ門。三世の敵である。
一度三世を倒そうとしたのだが負けたのだ。それからは修行を続け、三世を倒すと諦めない。
「ルパン、お主ともう一度勝負致す」
「何度しても同じことよ?」
互いに戦闘準備になれば生暖かい風邪がすり抜けていく。僅か数秒で銃声と共に、五右ェ門が蹲る。
勝敗は決まってしまった。
「……不覚」
「俺様を倒すまで、俺様の仲間になれ」
それが三世の命令だった。
そうやっいても楽しい日々はすぐに去っていく。つまらない。飽きた。
子供では出来ない事が多すぎる。どんなに高級な酒を飲んでも不味いとしか感じない。
ただの悪ふざけも悪ふざけだと物足りない。もっと、大量に豪勢に、派手に、目立って、警戒なところから盗みたい。
それが、三世のいつまで経っても叶う事ない夢なのだ。
**
「じゃ、頼むぜ。五右ェ門ちゃん」
赤いジャージを羽織り、暗闇の中迷うことなく素早く走り回り、斬鉄剣で斬られた倉庫の中に入れば、何でも吸い込む掃除機を掴みスイッチを入れる。
そこにある、金や宝石、全部を自分の物にし、明かりがつき銭形に姿を確認され丁度全て回収し、撤収する。
手首に手錠がはめられ、なんなく外し、SSKに乗り込み、金と宝石を抱えながら去る。
【予告上
来週の今日、女神のダイヤを盗みに参上! ルパン三世】
新たな予告上を残し、そして跡形もなく消えていく。
時が経てば、飲むもの吸うもの着るもの、全てが変わるが唯一変わらない自分の欲望。
ひたすら【終らない夢を紡ぐ】今日も明日も。
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