ブラック 2014-10-18 07:11:51 |
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【生理痛 ルパン三世の場合】
誰もが心浮かれる夏――。そんな妄想は一瞬で終った。
「痛い。痛い、痛すぎる!」
只今私、立花柚木は腹痛と腰痛に悩まされております。何故かって? そういう生き物なんだよ、女ってのは! まぁ、ごく簡単に言いますと月経でございまして。もっと分かりやすく言えば生理痛手悩まされております。
腰の痛みが引けばお腹が……。的な状態でございます。
ベッドに埋もれながらバイト休んでて良かったとか、明日の水泳どうしようとか、暑いとかを考えています。
元々ルパンとデートだったのに、生理痛の所為でオジャンになってしまったのだ。私が悪い訳でも、ルパンが悪い訳でもない。悪いのは空気の読めない生理痛だ! ルパンに電話で謝罪した時凄く心配されたじゃないか!
『ルパン……。ごめんね、今日体動かなくてさ……。デートの約束してたのにさ……』
だから、ごめんね。約束はちゃんと埋め合わせするから。それを分かっていたのか、残念がっていたのかはよく覚えていないけれど、『体は大事にしろよぉ』と言われて、小さく頷いた事は覚えている。
「痛い……」
呟いてもどうにもならないので、暖まって寝ようとしたときだった。
コンコン。窓からノックされた音で目を開ける。鳩でもやって来たのだろうかと、窓の方に向くと、ジーパンに茶色と黒と白のシマシマ模様のTシャツを着たルパンが居た。
「えっ……」
声が出なかった。どうしているのか、それが疑問で仕方なかった。
「入りたいんだけど、鍵開けて頂戴」
腰が痛いのに、何て言葉は出てこず、カチャンと鍵を開けるとルパンは部屋の中に入ってきて(勿論靴は脱いでいる)、玄関に靴を置いて、私の傍までやって来た。
「あーりゃりゃ。こりゃまた随分いたそーで」
言葉と同時に腰を撫でられる。大きくて暖かいその手のおかげで、痛みが引いていくような気がした。
生理痛は酷くて4日。だからどう頑張っても治らないのが面白い。薬飲んだら痛みは引くだろうけど、依存しそうなので飲まないようにしている。
「痛いの。気持ち悪い。眠いダルイ」
脂汗を流しながらルパンにしがみ付いた。温かい。
「生理痛ならそう言えば良いのに」
「恥ずかしいの!」
いくら付き合っているとはいえ、男性に「今日生理痛が酷くて動けない」何て恥ずかしくて言えない。
開けたままの窓を意地で閉めるとルパンに抱きかかえられ、ベッドに移動して、気が付いたら添寝状態だった。何しに来たんだ、ルパンは。
「夏なのにエンジョイできねー何て嫌だ! って思ってるんデショ?」
図星だ。ルパンと海に行く約束だったのに。ま、どうせそこら辺の女の子に声を掛けるのは想像ができていたので、焼きもちは妬くけれど一々気にしていたらキリがない。だから、そんな事は気にせずに海で遊ぶぜ! って思っていたら、生理ですよ! しかも2日目ですよ!? 空気読めよ! って何度も呟いた。
「はいはい。今日遊べなかった分、たーっぷり甘やかせてやるから寝ときなさい」
「へい」
今日が学校じゃなくて本当に良かったです。そして明日の水泳は見学です。腹筋背筋、腕立てスクワット……地獄だ!
目が覚めたらルパンが何かを作っていたのでした。たまには生理痛も悪くはない。
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