(アニメ/マンガ)BL・GL・NL(オリジナル) 小説集

(アニメ/マンガ)BL・GL・NL(オリジナル) 小説集

ブラック  2014-10-18 07:11:51 
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オリジナルや、版権の小説を書くトピ。

小説の練習でもあるので、指摘やアドバイスを暮れたら嬉しいです。
小説集なのでジャンルは色々あると思います。
リクエストなどくれたら泣いて喜びます!
(あ、但し、他の方が不快になるようなリクエストは止めて下さいね)

荒しや成りすましがいたら教えてくれるとありがたいです。

更新のスピードは遅くなるかもしれませんが、必ず更新します!!

では、まずはリクエスト募集です!
スレ番号5まで上げてもリクエストが無ければ、書いて行きますね!!

・版権
(K/カゲプロ/デュラララ!!/リボーン/ボカロ/妖狐×僕SS/とあるシリーズ(アニメに出てくるキャラのみ))
版権で書けるのはこのぐらいです。
後々他の作品も書けるようにしていこうと思います。

・オリジナル
(兄弟、姉妹、兄妹(姉弟)系、学園系、擬人化系)
上のを得意としています。
最近では刑事ものを書こうと思っています。

版権、オリジナルの合作でも良いですよ!

取り合えず、版権かオリジナルまたは合作の中から選んでジャンル(学園系など)を選び、CPなどを書いてください。

リクエスト書き方(参考にしてください)

・版権
(カゲプロ)
・メカクシ団の学園もの
・カノキド(NL)

こんな風に書いてくれたら見やすいかな、と思います。

ではリクエスト募集中!

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  • No.83 by ブラック  2015-06-13 01:55:47 

 人形と怪盗紳士(ルパン三世2nd 鏡音リン)


 儚い――想い思い重い空が覆うそんな頃の想い。薄暗い灰色の空に、ゆっくりとけれど、意味を持って落ちてくる白い埃。その埃は汚くはなく、肌に触れた途端溶けてしまうぐらい儚く、冷たいもの。
 
 外の冷えとは別に、家の中は外から見るとぼんやりとオレンジに光っている。暖炉やランプの明かりだろう。
 そんなどこにでもある――あっては困るのだが、まぁ、どこにでもある家の窓に人影が映るのを、一人の小さい少年が見つけた。
 少年の歳はまだ5歳ぐらいで、子供用のコートに身を包みながら人影を見つめる。

『もう、リンがやって来て結構経つんじゃないのけ?』

 少年が中を覗こうとした所で、大人の声が部屋中に響く。少年は急いで身を隠すが、その大人には気付かれていたようで窓越しに微笑まれた。
 それだけで少年は自分が何かをされると誤解し、早足に去って行ってしまった。

「……ありゃま」

 肩を竦め笑う緑ジャケット――ルパン三世は、己の腹黒さを消しつつも『可愛らしい子供が去ってしまって残念』という設定で、笑みを浮かべた。その様子を、黒一色に統一されたソファに寝転んでいる死神と呼ばれた男――次元大介が鼻で笑う。

「おめぇ、初めから気付いてたろ」

 最初から、そこに少年が居た事にも、リンが居たことにも気付きながら、口に出した「結構経つ」。日にち的はそんなに経っていない。
 今が世界一般で「冬」と称するなら、リンとルパンが出会ったのは秋ぐらいだ。

「何の事よ。次元ちゃん。そこにガキが居た事も、今ドアに隠れてるリンの事もなーんも知らない俺に」

 ニヤニヤしながら窓とドアに指を差し、最後は己の顔に手を当て肩を揺らしながら不気味に吐息を吐き出す。その表情はやっぱり「帝国」の者だった。

「俺様はね、本当は金にも宝石にも興味がねぇ。ただそれを盗む過程が好きなだけ。こだわるとしたら女ぐれぇだなぁ」
「てめぇらしい」

 一言そう言って次元は立ち上がり、ドアノブを回した。ドアで隠れるようにしていたリンは、数歩前に歩き、次元を廊下に通すけれどルパンからは見えないように再びドアの影に隠れる。
 そんな動作をしているリンをボルサリーノの下から数秒見つめ、低い声で告げた。

「お前さんがそんなんじゃ、アイツもあんなだぜ。しっかり届けな」

 次元の声に何の意味があったのかはリンはすぐに理解した。

「――なぁ」

 声が掛かった。次元はもう居ない。自室に戻っている。ドアは半開き。怒りとも、脅しとも取れるその低い声は今まで聞いたことがないぐらい。
 固まっていると次第にコツン。コツン。と足音が聞こえてくる。――怖い。

 何年振りの感情だろうか、それを言うにはもうちょっと前のことなのだが。
 あの黒き、衣を羽織っている頃は決して思う事はなかった事だろう。衣の色が黒から赤に変わるだけで何が変わるのか、そんな事誰も答えてくれやしない。
 だから何なのか、色が変わっただけ。そう返答される。

「何ですか? 三世様」

 至って平常心。揺れない心。揺れない瞳。作り出した『忠実』。

「出て来い」

 『主人の命令』逆らえぬ『犬』。それは造り物だからだという訳ではない。リン自身が「ルパンのいう事を聞く」という命令文を脳に打ち込んだからである。
 だから、従順な犬になったリンは主人がリードを引いたのならば、停止しなければならない。
 それ以上に動いてはならない。

「かしこまりました」

 無機質な声で、姿を現す。瞳には色など映さず、表情など作らず、そこに存在する便利な犬で居る。
 それが幸せなのかと尋ねると彼女は「はい」と答えるだろう。

「何で隠れてた?」
「訳はありません。ただ、次元様との談笑を邪魔しないよう、外に居たまでです」
 
 主人を思ってした事。――機械はそう答える。

「ふぅん。それで?」
「……何でしょう?」
「とぼけんじゃねぇ。用があんならさっさと話せ。こっちは忙しいんだ。お前みたいなカスな不良品に構ってる暇はないって事、忘れんな」

 消えろ。冷たく言い放った言葉。決して女にはそんな冷たくて汚い言葉を放つ。しかも鋭い目つきで。

「はい」

 くるりと向きを変えて、リンはリビングと呼ばれてるその部屋を出た。

 ――お前さんがそんなんじゃ、アイツもあんなだぜ。

 ふと、次元の言葉を思い出した。そんな最後だった。

 **

「なにぃ~!?」

 オイ次元それ本当か!? 朝から怒鳴り声がリビングに響く。今日は合流した和服の男――石川五右ェ門が、次元と向かい側のソファに腰掛けながら怒鳴り声の本人、ルパンと次元の会話を聞いている。

「冗談言うかよ」

 それより俺のマルボロ返せ、と相変わらずヘビースモーカーな所を見せながらも、朝からバーボンを煽るのはどうかと思わせるほど、ボトルが並べられおり、灰皿にも煙草が積まれていた。

「それよりお前、昨日何言ったんだ?」
「…………」
「よほど酷な事を申したのでござるな」
「んな事言ってねぇ!」

 バンッ、勢いよく叩かれたテーブルは少し浮いて、細々としたネジなどは衝撃で床に落ちてしまう。そんな事も気にせず、一人掛けのソファに乱暴に腰掛けて、脚を組みながら舌を打つ。
 盛大に聞こえた舌打ちは止む事なく規則的に、しかし怒りを含まれて耳障りなほど鳴り響く。

「そんなに心配なら捜してくれば良かろう」

 いい加減しろと言うように五右ェ門が口を開く。――舌打ち。
 
「良いか! ルパンファミリーは俺様が「王様」だ! 王様が直々に出て行くわけねぇだろ。逃げたい奴は逃がしておけば良いんだ」

 冷たく言い放った瞬間に、窓の外を眺めながら、少し瞳を揺らした。らしくないなと次元は思うが口には出さず、酒を煽る。
 こういう時この相棒は面倒だ。気が付いてるくせに受け入れるのが怖いのか、あえて突き放している。そうすれば、寄って来ないと信じ込んで。

『――えー、今、入った情報によりますと、中学生くらいの少女が交差点でバイクに乗っていた男性と思われる容疑者に後頭部を――』
『現在地XX地点、少女の怪我は――……』

 プツン。点けたテレビの電源が切れた。チャンネルを持っているのはルパンだ。しかも凄い形相で。
 何が凄いのかと言うと、怒り、恐れ、不安、自己嫌悪、そういった負の感情が集合したような表情になっているからである。
 昨日みたいに寒くはなく、外も晴れている。何故こんな「冬」に外はこんなにも緑が多いのかと言う疑問だが。

「行かねぇのか? 相棒」
「うるせぇ」

 低い声なのに、ジャケットを羽織ってリビングの外に出る。色は「赤」。初めて会った時の色だ。

「アイツも困ったものだな……」
「『優しい紳士』を演じられなかったルパンの野郎。きっと後悔してんぜ」
「しかし、お主が盗聴とは珍しい」
「たまには、イイってモンだぜ」

 そんな会話がアジト内で繰り広げられていた。

 **

 命令、使命、存在、それら全てを与えてくれた新しき主人。陣の先頭に立ち、堂々と大胆に行うそれにいつしか心惹かれるようになった。
 そこに居たい。肩を抱かれたい。よくやったと言われ、バカ笑いしたい、そう思うようになった頃から自分自身でもコントロールできなくなった、命令文。

「お嬢ちゃん、一つ要らんか?」

 いい歳した主人が話しかける。どうやらクレープ屋のようで甘い匂いが漂う。
 種類は沢山あり、金銭的には問題ない。しかし、今の彼女にはそれすらも受け入れるほどの容量はない。だから。

「不良品には不必要です」

 きっぱり、冷酷に告げた。自分に言い聞かせるように自分は「犬」ではなく「不良品」だと。

「んなかてぇ事言わずにほら食え。金は要らねぇよ、可愛い顔が台無しだぜ」

 気前よく結構値段がするクレープを主人自ら差し出した。「だから……」要らない、そう答えようとすると、主人はニコニコと笑いながら動かない。

「ありがとうございます」

 食べ物に罪はない。だから受け取った。それだけ。
 礼をして近くにあった公園のベンチに腰掛ける。一口、口に含めば甘く少し酸っぱい味が口の中に広がる。
 まるで恋愛をしているときの甘酸っぱさに似ている。

「私は……不良品、です」

 仕事をミスしたわけではない。なら何故彼が彼女を「不良品」と呼んだのか、そんなのはその場の感情の高まりだけで、意味などない。

 公園のベンチからは入り口が良く見える。その入り口に見覚えの赤いジャケットが映る。
 もしかして、何て変な期待と共に、ジャケットは入り口から離れていく。

「……悲しくなんか、ありません」

 温かく降った雨――。そんなとき必ず拭ってくれる手があった。あの頃。それがなくなって時間が経って、違う世界を魅せられた。
 それも、もう終り。主人が消える事を望むならそれに応える。

「そんな表情でか?」

 俯いていると、上から声が響く。聞きたく仕方なかった百分の一の飴。残りが全て鞭だろうとその一掬いで、少し嬉しくなる。

「――私は不良品です。表情など存在しません」
「泣きそうじゃねぇか。良いか、もう二度とこんな真似するな。これはお前に一生与える『命令』だ。俺の前から、俺の許可もなく居なくなるんじゃねぇ」
「はい……三世様」

 その雫を拭ったのはマスターでもなければ、Pでもないけれど、その手が触れる度、抑えていた感情が溢れ出た。

「すみません……貴方が、三世様が、好きです……」

 例え1%の飴でも99%鞭でも、それでも好きな事には変わりない。自分を救ってくれて、色々な世界を見せてくれた、彼が、愛しい。
 
「謝るなっての」

 怪盗紳士は細く微笑みながら、亜麻色の髪を撫で続けた。

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