ブラック 2014-10-18 07:11:51 |
通報 |
【御伽噺】
【プロローグ】
闇の間―廊下にて―
王の宿命とは一体なんだろうか。
何故俺は王に仕えているのか。
その意味すらもう思い出せないで只、王の命令に従っている。
「おいクロハ。次の会議ではよろしく頼むぜ」
「はい。かしこまりました」
俺は一体何をしているのだろうか。
俺は王に仕える意味があるのだろうか。
そんな事を思いながら次の会議とやらに出るために、準備をする。
王はほとんどの事を俺に任せて会議とやらには顔すら出さない。
――俺は一体、何をしているんだろうか――
会議というのも面倒な事だ。
どうでもいい事を聞いて何になる。
本来なら断っているが王の命令の為、逆らえない。
俺は会議を終えて廊下を歩き自室に戻ろうとすると、誰かに名を呼ばれ後ろに振り返る。
後ろに居たのは真っ黒で巨大な蛇だ。
目が真っ赤で不気味な真っ黒な蛇だ。
不気味な蛇の周りには同じく不気味な空気が漂っている。
その蛇はまるで呼吸をするように俺に尋ねた。
「何をしているか知りたいか?」
考えている事が読まれたみたいで不快になるも無表情と無言でいれば蛇は、人が他人を馬鹿にするように舌をシュルルと出している。
不気味な蛇は舌を出しながら早く答えろと言わんばかりに目を更に赤く染める。
何も言えず、その蛇をじっと見ていると蛇は俺の方にだんだんと近付いてきてしまいに俺の目の前にいる。
俺と蛇の間には結構な距離があって分からなかったが、この蛇は俺の身長を越えた巨大な蛇だ。
俺や王を簡単に飲み込むだろう。
額から汗が流れ落ちて頬に伝い、冷たい廊下に真っ直ぐ一滴の汗が落ちていく。
「何故、王に仕えているのか知りたいか?」
蛇の息が顔にかかるぐらいの近さで、低い声で言われ俺は後ずさりをする。
関らない方が良い気がする。
俺は蛇を睨みながら通り過ぎて行こうとすると、蛇は通さないとばかりに巻いていた体を伸ばし始める。
やっぱり全身真っ黒な蛇だ。
「王に仕える者、貴様は私を知っている」
そう言いながら蛇は嘲笑するように俺の頬を舐める。
舐められたと理解すれば体は大きく震え、咄嗟に腰に差してあるサーベルを抜いて蛇に切りかかる。
サーベルの刃は蛇をすり抜けて何もない空間を切ったと同時に俺の意識は薄れていった。
闇の間―自室にて―
何が起きたのだろうか、気が付けば自室に居て、ベッドの上で横に寝転んでいて何が起きたのか全く分からない。
先ほど見た蛇は夢だったのだろうか?
夢なら気味が悪すぎる。
――ピピッ。
メッセージが届いているようだ。
俺はベッドから起き上がり、机にある黒い羽を突く。
黒い羽は真ん中で綺麗に真っ二つに割れて、上下に分かれる。
メッセージには王からで『廊下で倒れてたぞ』とだけ書かれていた。
俺は王に返信をしてメッセージパネルを閉じる。
「貴様は私を知っている」
自室全体に声が響き、その声は俺が廊下で見た蛇の声だ。
【御伽噺】To be continued?
トピック検索 |