ブラック 2014-10-18 07:11:51 |
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【幻があったから】
夢の中に誰かが立っている。
誰だろう。
ぼんやりと見える誰かはゆっくりこっちに歩いていきて、僕の目の前に来たと思えばいつもそこで目が覚める。
「…おはよう」
僕はアジトに居る皆に挨拶をしてどうやらソファで寝ていたようで、ソファから起き上がりアジトを見渡す。
アジトにはカノ、シンタロー、セトがアジトに居て他の皆はどこかに出かけているのだと思う。
僕は夢で見た人物を捜しに行こうと思ってアジトから出て、公園や商店街など様々なところに足を運ぶ。
けれど夢で見た人物は見つからなくて、晩御飯の時間にアジトに戻る。
★★★
そんな事をずっと繰り返しているある日の事。
僕はまた夢を見た。
誰かが公園のイスに座っているところや、ねぎまを食べているところ。
商店街をブラブラと歩いているところ。
今日はやけにくっきり見えて歩いている人物の姿が良く分かる。
「んっ…」
夏でクーラーをつけていて寒さから目が覚めた。
僕はアジトを出て、公園や商店街に向かってみる。
夢で見た人物はどう見ても僕だった。
僕と同じ格好で同じ姿。
僕の髪の色を真っ黒にした人物が夢の中でねぎまを食べたり、商店街を歩いたりしてた。
目的の場所に着いても目当ての人物がおらず、しょんぼりとしてアジトに向かっていると、見知った人物が僕の横を通り過ぎていく。
紛れも無い夢で見た人物で僕はその人物の後を追いかける。
「…ね、ねぇ…」
無我夢中で目の前の人物に話しかけて僕は真っ黒な自分の隣に並ぶ。
目の前の人物は僕を見た途端に目の色を変えて、「お前!やっと見つけた…」と言って僕の肩を掴む。
僕はどうしたら良いのか分からなく手首をかしげるも、目の前の人物が「夢でお前を見たから捜してた」と僕と同じ理由を言って、僕の肩をポンポンと叩いて「俺はクロハ、お前は?」と自己紹介を始めたので、僕も「コノハ…」とだけ返す。
クロハと名乗った人物と僕は初めて話をした。
【幻があったから】END
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