ブラック 2014-10-18 07:11:51 |
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ポリスリンちゃんとイカサマ師リンちゃん(ひとしずくP×やま△楽曲より)
「――ところで、この間の勝負あれ、イカサマしましたよね?」
ポリスの格好をしているリンが紅茶を一口飲んで、口を開く。
「そういうのは、勝負の最中に言うものよ」
同じく紅茶を飲んで返答したイカサマ師のリン。優雅にティータイムをしていたのだが、急にポリスリン略してポリリンが3日前の勝負にイカサマを使われたことを思い出したのだ。通常ならばイカサマを使った勝負は違法となり、手首に手錠がはめられるのだが、捕まえたくても出来ない時はあるもんだとポリリンは最近思うようになった。
「煩いわ、マフィアレンがぎゃぁぎゃぁ豪華客船で騒ぐからそれで忙しかったのよ」
「あら? 忙しいのに豪華客船のカジノで遊んでいたの?」
「うっ……」
言葉に詰まるポリリン。実際、サボっていたのだから何も言い返せない。痛いところを突かれ、思わずカップを落としてしまい、部屋内でガラスの割れた音が響く。何事かとさっきまで喧嘩をしていたイカサマレンとマフィアレンが、こちらを振り向く。
「あらあら、カップを落としてしまう程知られてほしくなかった事かしら?」
うふふ、なんて妖艶な笑みを浮かべながらイカサマリンは紅茶を口に流す。どこぞのお嬢様のように。その動作がポリリンには気に食わなかったのか、ばしんっ、とイカサマリンの頬を叩き上げ「貴女がイカサマさえしなければ良かった事でしょう!?」と。
「何故?」
「私はっ……私は!」
はいはい、そこまで。手を叩いて中断の声がする。イカサマリンの対イカサマレンが発したものだ。その様子をマフィアレンは気に食わない顔で見ていたが、口出しすることでもないので何も言わず黙っている。
「つーか、お前がサボってた理由さ、コイツ目当てだろ?」
イカサマレンがイカサマリンを指差す。その瞬間ポリリンは真っ赤になり目を彷徨わせては、俯いている。
「コイツって失礼ね」
「はいはい、すみませんでした。リン」
「もう貴方って……。ポリリン、私と貴女ってどういう関係?」
「いっ、イカサマ師とポリス……」
「そっちじゃねぇよ、バカバカポリス」
ばしんっ、とマフィアレンがポリリンの背中を叩く。「バカって何よ! バカって! レンもバカじゃない!」「うるせ!」何てやり取りが続き、暫らくして恥ずかしそうに「こ、恋人……」と告げた。
「そうね。私達は同じ豪華客船に居た。私とレンはカジノでイカサマをする為に。貴女とマフィアレンはまた違う理由で、同じ場所に居る事を知っていたなら恋人のことは気になるわよ、ね?」
イカサマリンは優しく笑う。そう、優しく、ポリリンとマフィアレンに微笑む。
「貴方もレンが気になってカジノまで来ていたんでしょう?」
マフィアレンは目を逸らす。違うというように。けれど否定などできずそれをイカサマレンにニヤニヤされ、マフィアレンは部屋を出て行った。後を追うようにイカサマレンも部屋を出る。
二人きりで残され、イカサマリンに頭を撫でられたポリリンはイカサマ師を捕まえれない理由を分かった気がした。
――だって、好きだから。
二人きりの部屋で軽く口付けをしていたのは、イカサマリンとポリスリンしか知らない話。
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