朱 2014-10-04 02:05:26 |
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>No7とNo5を合わせたもの
優也が私の方をジッと見て、何やら考え事をしているようだ。
そして、カバンを席に置くと、私の方に近付いて来て話しかけて来た。
「ヒカリんちのおばさん、風邪でも引いたか?」
「・・・なんで?」
「お前んちのおばさん、毎朝玄関の掃除してるだろ?今日は見かけなかったし・・・。
それに、ヒカリも何だか元気なくね?」
普段は能天気で煩い奴だけど、人の事を良く見ていて、何も言わなくても、その人の気持ちを察し気を使う事が出来るやつだ。
こういう所は優也の長所だろう。
私は思わず本当のことを言ってしまった。
「・・・母さんが・・・家でしたんだ・・・」
微かに触れた優也の温かさに、ヒカリの目が霞む。
優也が何やら少し考えると、先ほどまで深刻な顔をして、ヒカリの話を聞いていた優也はとてもにこにこしていた。そして、私の方に来て言った。
「バイト代が貯まって、、やっと買えたんだ。昨夜は緊張して眠れなくて、、今日は朝バタバタだったよ 笑」
そして、鞄から小箱を取り出して言う。
「好きです。ヒカリ、結婚しよう。」
続き
その小箱は、どう見ても百均で売ってるようなカラフルな小箱だった。
結婚しよう、と言うからには、中には指輪でも入っているのだろう。
しかし、母が家出をしたと言った直後にこの行動は、どうもふにおちない。
せっかく、優也の優しさにホロッときたのに、これなら本当の感情を出すんじゃなかったと、思うヒカリだった。
父さんには、これから自分で家事をしないといけない事に対し腹が立ち、家出の原因を作った父さんに当たり散らした。
朱音と結紀には、『可愛そうな子』と言う目で見られ、同情をされたくなかったので、わざと愚痴を言い、何でもない振りをして見せた。
こんな事なら優也にも、悪態の一つでもついて、平気な振りを続けてればよかったと後悔する。
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