ハナミズキ 2014-09-28 23:00:11 |
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事務所のドアを開け、自分は一応医者だと言うと、事務所内にある医務室のような所に案内をされる。
そこには数人の怪我人が、椅子に座っていたり横たわっていたりしていた。
見た限りでは、大けがをしていそうな人はいない。
そこに薬剤を倉庫から運んできた看護師が入って来た。
「先生ですか?薬はこんな物くらいしかないんですが、これで足りますか?」
「それくらいあれば大丈夫だと思いますよ」
鈴は口を出さずにジッと様子を見ていた。
怪我人の容態としては、打撲2名、振動で倒れた花瓶の破片で腕を切った人が1名だった。
ここは医務室とは言っても、小さなレントゲンが1台置いてある程度で、後は何もない。
医師と名乗る男性が、患者の容態を見ているが、なんともおぼつかない手つきだ。
まだ若いとは思ってはいたが、自分も若くして医者になった身だ、そこは何の疑問も持たなかったが、ここは日本だ。
日本に自分の様な若い医者が居るわけがない。
レントゲンの扱い方もろくに知らないその医者は、実はまだ医学生だと言うではないか。
医学部の5回生で、何度か病院の方にも実習に行っていたため、大した事の無い怪我なら自分でも見れるだろうと思ったらしい。
そこで鈴は初めて口を開いた。
「あの~、お手伝いしますね。
まず、そちらの二人、レントゲンを撮りますので、こちらへ来てください」
「おぃ君、これは遊びじゃないんだぞ」
「分かってますよ?でも貴方、レントゲンの使い方知らないでしょ?」
「じゃあ君には分かると言うのか!?」
「はい。任せてください」
そう言い鈴は二人のレントゲンを撮りに行った。
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